茨城県土浦市は2日に予定していた「第93回土浦全国花火競技大会」を、中止にすると1日に発表した。悪天候が予想されることが理由だが、予備日として設けた3、9両日も「警備体制の不備」などを理由に延期を断念した。マス席やイス席は既に完売しており全額返金する。2025年の「100周年記念大会」前に、大会実行委員会の「準備不足」があらわになった形だ。
土浦花火大会は日本三大花火大会の一つに数えられる。1925年、市内にある寺の住職が、霞ケ浦海軍航空隊の殉教者慰霊や関東大震災後に落ち込む経済を活性化させるため、私財を投じて霞ケ浦湖畔で開いたのが始まりとされる。市商工観光課によると、過去に中止となったのは、第二次世界大戦や昭和天皇の体調悪化、近年では新型コロナウイルスが理由で、「警備体制の不備」などでの中止は初めてとみられる。
市などによると、2日は雲底の高度が300メートル以下となる悪天候が予想され、10号玉やスターマインの安全な打ち上げや、雲に隠れて良好な観覧環境が確保できないと判断。3日は降雨で打ち上げ会場付近の川の増水が懸念される他、3、9両日は「土浦駅や駐車場、会場などでの雑踏警備や交通誘導にあたる警備員(約500人)が調達できず、安全な運営ができないため」と説明している。
安藤真理子市長は「開催を心待ちにしていてた皆様、大会開催に向けてご協力をいただいた関係者の皆様には心よりおわび申し上げます」とコメントした。
実行委は、旅行会社などを通して、既にマス席(1マス2万4000円)約6000マス、イス席(3000~5000円)約1万1500席を完売しており、チケット代は総額約2億円にのぼる見通し。今後、全額返金する。詳しくは大会実行委(029・826・1111)。【鈴木美穂】
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