写真はイメージ=ゲッティ

 逆境体験の中でも、大人から頻繁に意見や気持ちを聴かれている子どもは、生活の質(QOL)が高くなりやすい――。国立成育医療研究センターが実施したアンケートでそんな傾向が明らかになった。子どもを肯定的に受け止めることが、子どもの心身の健康につながることが示唆されている。

 調査は新型コロナウイルス禍にあった2020年12月に、小学5年生と中学2年生の子どもがいる1500世帯を対象に郵送で実施。パンデミックによる生活の変化について、周囲から考えを聴かれているかを尋ねた。

 調査結果によると、保護者らと学校の先生の双方から「いつも」「しばしば」の頻度で意見や気持ちを聴かれたり、それを取り入れようとしてくれたりしたと回答した子どもは52・9%いた。

 一方、いずれからも聴かれていないとした子どもは24・6%だった。

 それぞれのQOLが中央値以上の子どもの割合は、前者が後者の約5倍いたという。

 子どもが権利を持つ立場にあることを約束した「子どもの権利条約」は、子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表明でき、大人は子どもの発達に応じて子どもの意見を十分に考慮するとしている。

 調査を行った国立成育医療研究センター社会医学研究部の山口有紗医師(40)は「日常の中でいろいろな人から声を聴かれていることを子ども自身が実感できることが大事。子どもの声を丁寧に聴くことの意味を多くの人に知ってほしい」と語った。【原奈摘】

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