入荷してもすぐに売り切れ、空になったスーパーの白米コーナーの商品棚=京都市で2024年8月25日午後、佐藤賢二郎撮影

 農林水産省は30日、今夏コメの品薄状態が生じた「令和の米騒動」の検証結果を公表した。国内全体では米の需給は逼迫(ひっぱく)していなかったが、災害を契機に消費者の買いだめが急激に広がり、一部の供給が滞ったと分析。政府側にも、品薄に関する情報収集や、流通業者や消費者への発信の遅れがあったと認め、今後はこれらの取り組みを強化する方針を示した。

 同省によると、スーパーなどの流通段階では2024年7月までは昨年と同程度か昨年以上にコメが供給されていた。だが、8月以降、南海トラフ地震臨時情報などを受け、消費者の購入が前年同月比2~4割増加。24年産の新米が出回る前の端境期だったこともあり、供給不足が一気に顕在化した。

 今回の検証に伴う同省の聞き取り調査に対して、小売業者からは「(国がいくら説明しても)消費者心理として、店頭からコメが消えると不安に感じ、買いだめが行われた」との指摘があった。一部の卸業者は、業務用向けの契約を取り消して、小売り向けに販売を行ったという。

収穫される新米=佐々木順一撮影

 同省は今後の対策として、各地の農業協同組合(JA)などの集荷業者や卸業者に対し、6月から新米が出回る前の9月中旬まで、コメの集荷量や販売量、在庫量などの調査を毎週実施。こうした結果を小売業者や消費者に積極発信して、買いだめ行為の抑制などにつなげていく方針を示した。

 事態の再発防止に向けては、在庫の積み増しを図っていることを強調した。同省によると、23年7月~24年6月の主食用米の需要は705万トンで、同年6月末の在庫は153万トン。需要に占める在庫の割合は約22%だったが、24年7月~25年6月はこの割合は24%に上昇する見通しという。【福富智】

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