東京電力は30日、福島第1原発2号機で実施している溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の初回収に向けた試験取り出しで、燃料デブリをつかんだと発表した。今後、格納容器の外へ回収する。つかんでから取り出すまで約1週間を見込んでいるが、期間は短くなる可能性がある。
東電はこの日、圧力容器を支える土台(ペデスタル)底部へ、釣りざお式の取り出し装置のケーブルを垂らした。ケーブルの先端にある器具が燃料デブリをつかんだことを、装置のカメラの映像で確認した。
今後は、燃料デブリをつかんだまま装置を格納容器の外へ引き抜く。ただし、作業員の被ばく対策のため、取り出し前に試料の放射線量を確認。毎時24ミリシーベルトを超えた場合は取り出さない。器具の設計などから、取り出せる試料は最大約3グラムとみられる。
試験取り出しは当初8月22日に着手する予定だったが、装置を押し込むパイプの接続ミスが判明。作業手順を見直した上で約3週間遅れの9月10日に着手した。
しかし、燃料デブリに到達したものの、装置先端のカメラ2台の映像が映らなくなるトラブルがあり、さらに約1カ月半作業を中断。10月28日に再開した。
燃料デブリは1~3号機に計880トンあると推計される。取り出した試料は茨城県内の分析施設で成因などを調べる。東電は、得られたデータを、今後計画する大規模取り出しに活用するとしている。【高橋由衣】
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