報道陣に公開された燃料デブリを採取する装置の先端部が小石をつかむ様子=神戸市で2024年5月28日(代表撮影)

 東京電力は30日、福島第1原発2号機で実施している溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の初回収に向けた試験取り出しで、燃料デブリをつかんだと発表した。今後、格納容器の外へ回収する。つかんでから取り出すまで約1週間を見込んでいるが、期間は短くなる可能性がある。

 東電はこの日、圧力容器を支える土台(ペデスタル)底部へ、釣りざお式の取り出し装置のケーブルを垂らした。ケーブルの先端にある器具が燃料デブリをつかんだことを、装置のカメラの映像で確認した。

 今後は、燃料デブリをつかんだまま装置を格納容器の外へ引き抜く。ただし、作業員の被ばく対策のため、取り出し前に試料の放射線量を確認。毎時24ミリシーベルトを超えた場合は取り出さない。器具の設計などから、取り出せる試料は最大約3グラムとみられる。

 試験取り出しは当初8月22日に着手する予定だったが、装置を押し込むパイプの接続ミスが判明。作業手順を見直した上で約3週間遅れの9月10日に着手した。

 しかし、燃料デブリに到達したものの、装置先端のカメラ2台の映像が映らなくなるトラブルがあり、さらに約1カ月半作業を中断。10月28日に再開した。

 燃料デブリは1~3号機に計880トンあると推計される。取り出した試料は茨城県内の分析施設で成因などを調べる。東電は、得られたデータを、今後計画する大規模取り出しに活用するとしている。【高橋由衣】

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