大阪地検特捜部に逮捕され、無罪が確定した不動産会社元社長が国に損害賠償を求めた訴訟を巡り、元社長側は29日、検事の取り調べを撮影した映像について、法廷で公開するよう求める方針を明らかにした。検事が「検察なめんなよ」などと怒鳴る様子が記録されており、大阪地裁が認めれば12月の口頭弁論で再生される。
元社長は「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍氏(61)。映像には捜査に関わった田渕大輔検事(52)が山岸氏の元部下を怒鳴るほか、机をたたく様子が収められている。山岸氏側の訴えにより、最高裁第2小法廷が今月、約17時間50分のデータの提出を国に命じる決定を出した。
山岸氏側は今後、プライバシーに配慮した加工を施し、数時間分にまとめた取り調べ映像の証拠採用を求める。これが認められれば怒鳴る場面などを抜粋し、次回期日の12月20日に法廷で再生するという。記者会見で代理人の秋田真志弁護士は「映像を公開し、取り調べの検証に生かさないといけない」と話した。
映像の取り扱いがあることから、国賠訴訟は29日に終結する予定だったが、次回で結審することになった。その後、国に賠償責任があるか否かの争点に限り、地裁が「中間判決」を出す予定となっている。
一方、この日は口頭弁論が開かれ、山岸氏は「検察は謝罪も検証もせず、自浄作用がないと思って裁判をした。なぜ冤罪(えんざい)が生まれたのか、明らかになった。公平で厳正な判断をお願いしたい」と意見陳述した。
田渕検事を巡っては、山岸氏の元部下に対する特別公務員暴行陵虐の罪で、刑事裁判が開かれることが決まっている。【木島諒子、高良駿輔】
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