宮城県の東北電力女川原発2号機(手前右)=2024年10月24日午後0時23分、本社機「希望」から

 東北電力は29日、女川原発2号機(宮城県)を13年半ぶりに再稼働した。東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型では初で、東日本にある原発、東日本大震災で被災した原発としても初めて。

 東北電はこの日午後7時に制御棒を抜いて2号機の原子炉を起動した。核反応が連続して起こる臨界を経て11月7日にも発電を始め、12月ごろすべての検査を終えて営業運転に入る見込み。

 女川原発は東日本大震災の震源に最も近い原発で、最大約13メートルの津波が襲来した。2号機は定期検査で原子炉を起動した直後で、原子炉建屋の地下が浸水してポンプが壊れるなどの被害が出たが、敷地が海抜14・8メートル(当時)の高台にあり、過酷事故は免れた。

東北電力女川原発

 東北電は2013年に2号機の再稼働を目指して原子力規制委員会に審査を申請した。審査では、想定する最大の津波高(基準津波)を23・1メートルに引き上げ、海面からの高さ29メートルの防潮堤を建設するなど、主に津波対策を強化。20年に審査を通過した。23年にはテロ対策施設を設置する許可も受けたが、26年12月までに完成させなければ、その後の稼働ができなくなる。

 沸騰水型では、東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)と日本原子力発電東海第2原発(茨城県)が先行して審査を通過した。しかしその後、柏崎刈羽ではテロ対策の不備、東海第2では防潮堤の施工不良が発覚し、再稼働のめどが立っていない。一方、審査では後発だった中国電力島根原発2号機(島根県)が12月上旬に再稼働する見通し。

 女川原発は牡鹿半島の中ほどにあり、避難経路が限られている。自然災害と原発事故が同時に起きる「複合災害」で住民が避難できるのか、周辺自治体からは懸念の声が上がる。

 元日の能登半島地震では、同じく半島に位置する北陸電力志賀原発(石川県)の周辺で家屋が倒壊し道路が寸断。5~30キロ圏の住民に求められる屋内退避ができない問題が露呈した。規制委はその後、検討チームを作って屋内退避の期間などを見直しているが、根本的な問題は解決されないままだ。【高橋由衣】

女川原発

 宮城県女川町と石巻市にまたがり、いずれも沸騰水型の1号機(52・4万キロワット)▽2号機(82・5万キロワット)▽3号機(同)の3基が立地する。1号機は2018年に廃炉。3号機は、使用済み核燃料から取り出したウランやプルトニウムを再利用するプルサーマルが計画されていたが、東日本大震災で実現していない。

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