東京地検が入る庁舎=金寿英撮影

 役員を務める2社で架空の業務委託契約を結んで会社に損害を与えたとして、東京地検特捜部は29日、投資ファンド運営会社「IDIインフラストラクチャーズ(IDII)」(東京都港区)元代表取締役の埼玉浩史容疑者(61)を会社法違反(特別背任)と背任の両容疑で逮捕した。

 関係者によると、埼玉容疑者は逮捕前の特捜部の任意聴取に対し、「契約は架空ではなく、業務実態があった」と容疑を否認していたという。

 逮捕容疑は自らの利益を図る目的で、2018年6月にIDII社から2160万円、19年11月に取締役を務めていた外国法人から約19万4000ドル(約2100万円相当)をそれぞれ別会社に送金。IDII社と外国法人に損害を与えたとしている。

 特捜部によると、埼玉容疑者はIDII社の部下らと共謀して、別会社と架空の業務契約を結んでいたという。

 内部通報を発端に20年8月にIDII社が調査委員会を設置。調査委は不正な送金を認定し、埼玉容疑者は20年10月に解任された。

 IDII社は21年10月、埼玉容疑者に損害賠償を求めて東京地裁に提訴。IDII社から不正送金された2160万円の大部分が最終的に埼玉容疑者が実質管理するシンガポール法人に渡ったと主張している。埼玉容疑者は不正送金を否定し、請求棄却を求めている。【安元久美子、北村秀徳、岩本桜、山田豊】

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