「首都高お客さまセンター」へ向けられたカスハラ音声をフジテレビが独自入手した。
1日約1700件の問い合わせがあるというこのセンターでは、カスハラ問題解決のために、異例となる「切電(きりでん)マニュアル」の運用を開始している。
「バカ野郎!」心ない声…理不尽な要求も
首都高での渋滞情報やルート案内などを行う「首都高お客さまセンター」へ向けられたカスハラ音声をフジテレビが独自入手した。
そこには「金取ってんだったら、そういうの全部ちゃんとやれや」、「バカ野郎!聞こえてるから言ってんだろう!バーカ」といった声が記録されていた。
近年、カスハラが社会問題化する中、いまだに「聞こえるぞっつってんの」、「バカ野郎!聞こえてるから言ってんだろ。聞こえるならって、枕ことば入れるんじゃない」、「お前大丈夫か?お前失礼なこと5回以上繰り返しているぞ、分かってるかお前?」などといった、心ない言葉を投げつけられることが多いという。
ほかにも「怒鳴ってねえだろうがよ!金払っている以上、そこらへんの管理ちゃんとやれって言ってるだろ。じゃあ、何のために二重料金取ってんだよ!」といった言葉も聞かれた。
この客は首都高で方向を間違え、もう一度乗り直した際に料金を再び支払うことに納得できず、激高していた。
料金所に「説明に来い」などと、30分以上理不尽な要求を繰り返した。
テレビカメラ初潜入…顧客対応の現場では
こうした理不尽な要求に、首都高はある対策をとることにした。
初めてテレビカメラでの取材が許可された、顧客対応を一手に担う現場で、担当者にはひっきりなしに問い合わせが来ていた。
このお客さまセンターには、1日約1700件の問い合わせがあるという。
担当者たちは、丁寧な対応を行う中で、恐怖にさらされる場面もあるという。
首都高お客さまセンターの担当者は「威圧的な発言があると、オペレーターは恐怖を感じる。精神的なストレスを感じたり、電話が鳴るたびに不安を感じてしまうという声も上がっている」と話す。
「切電マニュアル」の運用を開始
このカスハラ問題解決のために、異例となる「切電マニュアル」の運用を開始した。
いったいどのようなものなのか。
1. 30分以上同じ内容を繰り返し主張する
2. 要求内容が不当
3. 威圧的な発言・口調
このいずれかに該当する場合、相手に理由を伝えたうえで、電話を切るという運用を開始した。
すると、ある変化が出たという。
オペレーター:
(故障車渋滞が)何時に終わるというお約束、ご案内はこちらではできかねます。
客:
お前らじゃ、何の役にも立たねえ。
オペレーター:
申し訳ありません。今の段階では…。
客:
バーカ!おい!
オペレーター:
お客さま?
客:
毎度じゃねえかよ、ほんとによ!いつもいつもよ!!
オペレーター:
お客さま、そのように暴言を吐かれるようであれば、こちらからこれ以上のご案内ができかねます。恐れ入りますが…お電話切らせていただきます。
客:
切るぞ、バカ!
電話担当者は威圧的な発言に冷静に対応した後、電話を切った。
「会社が社員を守ってくれる」安心感
首都高お客さまセンターの担当者も「『会社が社員を守ってくれると感じて、安心してお客さま対応ができるようになった』や、お客さま対応に恐怖心がなくなって、よりいっそう丁寧な対応を心がけようと前向きな気持ちになれたという声が出ている」と話す。
首都高によると、マニュアルが策定された2023年5月から2024年8月までに、客からの電話を途中で切ったケースは22件。
また、それがきっかけで客とのトラブルに至ったケースはないという。
首都高CS サステナビリティ推進部・恩田和典課長:
お客さまに対して真摯(しんし)に対応するのは当たり前なんですが、それによって、わが社の社員オペレーターが疲弊することはあってはならない。「会社全体で対応するから安心してくれ」そういうメッセージを送っている。
首都高は、「お客さまには真摯に丁寧な対応を続けたい」としている。
(「イット!」 10月11日放送より)
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