「ノーベル平和賞を日本の被団協に授与する」。フリードネス・ノーベル賞委員長が発表した瞬間、会場を埋めた報道陣の一部が驚いたような顔を見せた。世界中の多くのメディアが、中東やウクライナで続く戦争に直接関係する個人か団体の受賞を予想していた。
フリードネス氏は「(核兵器を使ってはならないという)タブーが圧力にさらされている」と授賞理由を読み上げた。質疑では現地メディア記者から「なぜ今年なのか」との質問を受け、現在も世界各地で続く紛争について触れ「核兵器使用を禁じる基準を守らなくてはならない。被団協は重要な役割を果たしている」と強調した。
フリードネス氏は会見後に共同通信など日本メディアの取材に応じ「被爆者の高齢化が進んでいる。今回の授与が、被団協の活動が次世代に受け継がれるための刺激となってほしい」と訴えた。
ノルウェーの国営テレビNRKの記者は「緊迫している中東情勢の人道団体が受賞すると思っていたが、核の脅威が常にあることを考えると、今回の授与はいい判断だった」と評価した。(共同)
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