ノーベル平和賞の受賞が決まった11日、広島市役所で記者会見を開いた広島県原爆被害者団体協議会(県被団協)理事長の箕牧(みまき)智之さん(82)は「(受賞は)夢にも思わなかった。核兵器の廃絶に向け、一段とはずみがついた」と喜んだ。
午後6時過ぎ、ノーベル賞の受賞が発表されると、市役所では歓声が起こった。待機していた箕牧さんはほおをつねりながら「うそでしょ、夢でしょ」と何度も語った。
記者会見に臨んだ箕牧さんは「訴えても、訴えても世界に届かないのが歯がゆい日々だった。平和賞の受賞で、政治家には核兵器をなくすべきだという考えになってほしい」と訴えた。
2021年に発効されながら、日本が署名・批准していない核兵器禁止条約についても「(日本の)署名・批准が可能になるのではないか。前向きに考えてもらわないといけない」と述べた。
そのうえで、21年10月に96歳で亡くなった被爆者で県被団協の前理事長、坪井直(すなお)さんの名前を挙げ、「『坪井さん、ノーベル平和賞受賞することになりましたよ』と伝えたい」とも話した。
もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(79)は広島市内の事務所で受賞を知った。「これまでやってきたことは間違っていなかった」と喜び、「世界の為政者には、核が使われたらどうなるのかをもう一度考えてもらいたい」と強調した。【安徳祐、山本尚美】
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