郵便局がゆうちょ銀行の顧客情報をかんぽ生命保険の保険営業に不正に流用していた問題で、日本郵便の千田哲也社長は11日、「お客様には不安な思いや心配をおかけし、心よりおわびを申し上げる」と謝罪した。同社は顧客の事前の同意なしに作成されたリストに載る対象者が少なくとも約155万人にのぼると発表した。不正は2007年10月の民営化以降、続いていた可能性があるという。
今回の不正では、ゆうちょ銀行が管理する口座残高や取引記録などの非公開情報を、日本郵便の郵便局が顧客の事前の同意なく利用。リストを作成してイベントなどに誘い、窓口でのかんぽ保険の勧誘に利用していた。保険業法違反の可能性があり、9月には監督官庁の金融庁や総務省に報告した。
対象者数は、現行の顧客管理システムが導入された14年以降のデータから判明した。それ以前では具体的な確認が難しいといい、千田氏は「システム上で分かり、保険募集に使ったと推察される限りの数だ」と説明した。
同社は情報を閲覧できないようにシステムを改修するほか、再発防止体制が整うまで郵便局からの来客案内を停止する対応策などを発表した。千田氏は「影響を最小限にできるよう、体制を早期に整備する」と述べた。
また、千田氏は「郵便局としては公社や国営の時代からサービス提供のためにゆうちょの情報を利用していたのではないか」と推察。原因については「郵政民営化後に非公開情報の利用が禁止されていることの周知徹底が不足し、誤った指示だった」と述べた。【藤渕志保】
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