10年前の2014年、当時は静岡地裁の裁判長として最初に再審開始決定を出し、袴田巖さんの身柄の釈放を認めた村山浩昭さん。袴田さんの無罪が確定し「ホッとした」と話します。
「ホッとしたというのが第一感」
元静岡地裁 裁判長・村山浩昭さん:
ここまでずっと闘ってこられたことに対しては敬意を表していますし、真の自由を手にされてよかったですねということと、本当にお疲れさまでしたということですね。
巖さんについては本当の社会復帰はこれからじゃないかなと思う。そういう意味でホッとしたというのが第一感ですね
検察の控訴断念を前向きに評価
また、検察側は10月8日、控訴しない方針を示した上で、個別の事件では異例となる検事総長の談話を発表しました。
「判決は到底承服できないもの」という認識を示しつつも、結果的には控訴しないという判断になったことを村山さんは前向きに評価しています。
元静岡地裁 裁判長・村山浩昭さん:
私は正面からそれはポジティブな方向で受け止めている方です。控訴しないというのはどういうことかというと「無罪を覆せない」と判断をしたということ。つまり無罪判決を受け入れたんですね。
法律論として事実認定論として「もう覆せない」という判断があったと思うし、もう1つは民意ですね。多くの国民・市民が「これ以上、巖さんやひで子さんの時間を奪うな」という声を全国至るところで上げていただいていた。
検察がもし控訴をすれば、そういう声と真っ向から反するということになりますので、そういう点も考えたのではないかと思いますね
「再審規定を実効性のあるものに」
また、裁判官を定年で退官した後村山さんは、いわゆる再審法の改正の必要性を訴え街頭でのPRや講演会など精力的に活動しています。
袴田さんのえん罪事件に関わった司法関係者として「問題を大きくした責任が自分にもある」との認識を示すとともに、「今回の無罪判決を契機に、刑事訴訟法で定められた再審規定を実効性のあるものにしなければいけない」と語りました。
元静岡地裁 裁判長・村山浩昭さん:
どうして死刑判決が出て確定して無罪の叫びがここまで長引かないと届かなかったのか。それぞれの場面で違いますが、ここまで問題を大きくしたという責任は誰一人として逃れることはできないと思いますね。
袴田さんのケースは再審法の現在抱えている矛盾がたくさん顕在化している。欠陥が明らかになっている事件ですので、実際の再審請求人から見て実効性のある再審がえん罪救済の最後の砦なんだということがはっきりわかるような条文、そういう法律改正を進めていく。これは確実に私はできると思って臨んでいます
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