特殊詐欺を未然に防いだとして三重県警鈴鹿署はこのほど、ファミリーマート鈴鹿須賀3丁目店(鈴鹿市須賀)に感謝状を贈呈した。県内では特殊詐欺が後を絶たず、最近ではSNS(ネット共有サービス)型投資詐欺が注目される中、最も多いのは架空請求詐欺で、悪質な手口で全体の半分を占めている。
3月31日午後6時50分ごろ、80代女性の携帯電話に着信が入った。「パソコンがウイルスに侵されている。修理にお金が必要で、今日中にお金を振り込まないと翌日、裁判になる」。見知らぬ男性からの電話に女性は信じ、午後7時45分ごろに店に訪れて現金自動受払機(ATM)で約30万円を口座から引き出した。その様子を見ていた同店店長の小谷留美さん(50)。女性から「お金を振り込みたい。コピー機はどこですか」と聞かれた小谷さんは、「札束を持った状態でコピー機の場所を聞かれることがなかった」と詐欺を疑った。説得する間も、女性の携帯電話は複数回鳴り続け、小谷さんは110番通報。詐欺被害を食い止めた。
県警生活安全企画課によると、4月末までに特殊詐欺の被害件数は83件で、最も多いのは架空請求詐欺で44件と割合の半分を占めた。「パソコンがウイルスに侵されている」「携帯料金の未納がある」など恐怖心で追い詰める手口で被害件数が増えているという。1回支払うと「エラーが確認されました。もう一度、振り込んでください」と虚偽の連絡が届き、再び支払いを求められるのが架空請求詐欺の仕組みだ。
昨年、特殊詐欺を未然に防いだ件数は172件で最も多かったのはコンビニエンスストアで103件だった。鈴鹿署の中村勇索署長は「特殊詐欺の被害は多く、啓発運動も行っているが、警察だけでは被害者を防ぐことができない。水際で止めてもらうしかない」と語った。【渋谷雅也】
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