小中学校に配置するため、沖縄県教育庁が会計年度任用職員として採用しているスクールソーシャルワーカー(SSW)のうち12人が今春の内定を取り消されていたことが25日、分かった。SSWは県の予算と国の補助金で採用されており、同庁は2024年度に向け12人の増員を計画していたが、国庫補助が希望額に届かなかったことから、採用できなかったと説明する。SSWの内定が取り消しになったのは初めて。(社会部・嘉数よしの)
SSWはいじめや不登校、児童虐待などに専門的に対応する社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ職員。09年から県内の6教育事務所に約20人が配置され、学校と福祉の連携を支えている。
不採用となった人からは「新年度直前に知らされ困った。生活が懸かっている」「既に配置校も決まっていたのでショック」などの声が上がっている。
同庁は困難を抱える児童・生徒への対応の充実と教員の負担軽減などにつなげるため、24年度は例年の20人から12人増やした32人、約6858万円で計画し、国に予算要求していた。これに対し3月末に内示された額は約3385万円だった。例年とほぼ同額だったため増員できず、24年度の採用も20人とした。
人材確保と新年度すぐからの配置につなげるため、同庁は23年度中に選考を進め、2月に内定通知を出していた。通知や面接時に「国の予算決定を受けて配置となる」と知らせていたが、対象者は3月末に「不採用」となり、困惑が広がった。同庁は市町村が独自に採用しているSSWなど可能な限り同種の仕事を紹介したというが、全員が就職できたかは不明という。
同庁義務教育課は「子どもの貧困問題が深刻なので、国に増員の必要性を訴えてきた。(今回の件は)残念」と説明する。別の財源で採用が可能かなど「できることを考えたい」とした。
文科省の担当者は本紙の取材に「事業は県が3分の2を負担し、国が3分の1を補助するもので、実施主体は県。足りなければ補填(ほてん)して対応してほしい。交付税措置もしている。国の補助が減ったからとやらないのは言い訳にならないか。増員の判断含めて自治体が担うものだ」と強調した。
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