財務省による政府保有株の入札低調を受け、商工中金は自社株買いを検討すると発表した

商工組合中央金庫(商工中金)は21日、政府が保有する商工中金株を取得する方向で検討すると発表した。完全民営化に向け財務省が7月に受け付けた入札で一括売却を計画していたが、9割弱が売れ残った。財務省は2次入札なども含め検討中で、商工中金による買い取りも選択肢になる。

商工中金は21日の発表で17日の取締役会で取得を検討すると決議したと明らかにした。ただ売れ残った政府保有株の処分方法は「政府が決定するもので、現時点では何も決まっていないと承知している」とも付記した。

政府保有株の売却は改正商工中金法の公布から2年以内とされ、2025年6月15日が期限だ。商工中金は23年の改正法審議中に当時の経済産業相が「(売れ残った場合に)商工中金が自社株買いを行うことも選択肢になる」と答弁したことを根拠に挙げた。

財務省が11日に発表した入札結果では、売却対象となった政府保有の10億1600万株のうち、落札されたのは1億3600万株にとどまった。

証券会社による売買価格をもとに単純計算すると残りの政府株の売却総額は1500億円規模となる。仮に全てを自社株買いすれば巨額になる。

今回の商工中金の発表は、自社株買いも視野に入れていることを意思表示した格好だ。

自社株買いは手元資金を使うため自己資本が減る可能性がある。自己資本比率が低下すれば規制面や格付けなどに影響が出る可能性もある。

落札が低調だったことを受け、政府保有株の売却後に予定する業務範囲の拡大の時期に影響が出るのではないかと取引先から懸念する声も出ており、早期に意向を示す必要があると判断したようだ。

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