子どもたちと記念撮影する(後列左から)文田健一郎、樋口黎、高谷大地
◆子どもたちも興味津々「舞台裏の話」
同年代の試合ではなかなかお目にかからない投げ技を間近で見て、「おー」と感嘆する子どもたち。実演しているのはパリ五輪の金メダリストだから、目を輝かせるのも当然だ。 今月中旬、東京都内で開かれたレスリングのイベント。今夏の大一番を制した同57キロ級の樋口黎と、男子グレコローマンスタイル60キロ級の文田健一郎(いずれもミキハウス)が、小学生ら約150人に技術指導をした。子どもたちとハイタッチする(左から)文田、樋口黎、高谷大地
練習の後は高谷も加わってのトークショー。五輪の選手村での食事や、減量の実情、ウオーミングアップで心掛けていることなど、舞台裏の話が子どもの関心を引いたようだ。 樋口は「努力をし、目標を口に出すのは『寒い』みたいな風潮があると思うが、僕は努力をする姿勢はすごく美しいと思う。夢を口に出すという第一歩から、頑張ってほしい」と語りかけた。◆テレビやイベントでバズってくれたらいいけど
パリ五輪では競技力の高さがクローズアップされたものの、それが人気に直結するわけではない。国内ではトップ選手が出場する試合でも、スタンドは空席が目立つ。 五輪後にプロ野球の始球式を務めた女子53キロ級金メダルの藤波朱理(日体大)は「こんなにたくさんの人の前で試合することはない。プロ野球選手がうらやましい」と漏らした。メダリストたちは、帰国直後の握手会を提案して開くなど「4年に1回だけ騒がれる」現状を変えるべく奔走する。子どもらの前で投げ技を披露する文田健一郎
認知度を上げようと、テレビや大がかりなイベントに出演するオリンピアンは少なくない。高谷はそうした活動を肯定しつつ「バズってくれるのが一番いいけど、そういうのって結構ばくちに近い」と、注目が一過性のブームに終わることへの危機感を明かす。 そこで、既にレスリングに親しんでいる「身内」に目を向ける。「参加してくれた子が学校で『レスリングの五輪選手に会ったぜ』と話をして、周囲にも興味を持ってもらえれば」。従来はあまり見られなかったという地道な取り組みが、競技の裾野を広めていくと信じている。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。