東葛まいにち記者として東葛駅伝を見つめ続ける松原美穂子さん=柏市で2024年9月18日午前11時2分、高橋努撮影

今も昔も地域に愛され

 今年76回目を迎える東葛飾地方中学校駅伝競走大会(東葛駅伝)は、「東葛の秋の風物詩」といわれる毎年恒例のイベントだ。大会を後援する地域情報紙「東葛まいにち」の記者として東葛駅伝を見つめ続ける松原美穂子さん(49)に、その魅力を聞いた。

 ――柏市の中学校を卒業されました。ご自身も東葛駅伝を走ったのですか?

 ◆いえ、私は吹奏楽部で、運動の方はさっぱりでした。でも、友達が選手として出場し、一生懸命応援したのをよく覚えています。男の子に交じって走る友達に、沿道から喉をからすほど声援を送りました。本当にカッコ良かった。子育ても一段落して再び働こうと、ちょうど10年前、ここ(「東葛まいにち」を発行する東葛毎日新聞社)に採用されました。取材対象の地域の一大イベントとして、東葛駅伝と再会です。

 最初の頃は、自分の経験と重ねて取材してましたね。全力で走り終えてコース脇に倒れ込む子や、ゴール後、再びチーム全員が集合して感極まって泣く子どもたちを見て、自分たちの頃と変わらぬ十代の思いに胸が熱くなりました。でも、徐々にほかの面にも気付いたんです。

 ――というと?

 ◆東葛駅伝の意味というか、意義ですかね。初めは、走っている中学生ばかりを追っていたのですが、だんだん街の様子が気になりだしたんです。30キロを超えるコースの沿道には、たくさんの人々が繰り出します。もちろん出場選手の家族や知り合いもいますが、ほとんどがごく普通の市民の方なんです。

 折り畳みいすを並べて毎年、同じ場所で応援するお年寄り。地元の学校がやってくるのを今か今かと待つ商店街の人たち。東葛駅伝を楽しみにしている市民の多さに気付きました。コロナ禍で3年ぶり開催となった一昨年の第74回大会では、大会の名物だった「全校応援」も自粛されました。それでも従来と変わらない大勢の市民が沿道に出て声援を送りました。

 ――地域の運動会みたいですね。

 ◆ああそうですね。かつて小中学校の運動会は、地元の人々がお弁当を持って集まる秋のお祭りでしたよね。最近では、児童生徒の安全管理もあって、多くの運動会は関係者でなければ参加できません。東葛駅伝は、そんな昔の運動会の雰囲気を色濃く残しているんです。走る子どもたちが変わっても、地域の人々が変わることなく受け入れ、参加できるお祭り。それが東葛駅伝でしょうね。【高橋努】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。