最強コンビの進むべき道は――。2026年に米国とカナダ、メキシコで共催されるサッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会のアジア最終予選で日本は15日、オーストラリアと1―1で引き分けた。相手の対策に苦しんだのが、久保建英(レアル・ソシエダード)と堂安律(フライブルク)の右サイドだった。ともに技巧派レフティーの「共存」は日本の浮沈も握っている。
試合後に取材ゾーンに現れた堂安は不満いっぱいという表情だった。
「縦パスが有効的に入っていなかったので、(FW上田)綺世(フェイエノールト)が少し孤立しているところもあった。僕もタケ(久保)と入れ替わりながらやったが、それも分析されている感じはあった。全体的に不完全燃焼の試合だったのはみんな分かっている通り」
最終予選で3連勝中だった日本は、これまで通り3バックのシステムで臨んだ。久保は2列目の右のシャドーストライカーで、堂安は右ウイングバック(WB)として先発出場。対するオーストラリアは守備時は5バックでゴール前を固めてきた。日本は久保が個人技でサイドから崩しに掛かったが、クロスは体格に勝る相手にはね返された。次第にタッチライン際で久保が孤立する場面も見られるようになった。
久保は「縦にあれだけ(スペースを)空けられると行かざるを得ない」とした上で「そこでもう1人サポートに来てもらうか、もしくは切り返すかというのがありましたけど。そこは少し難しかった」と振り返った。
堂安も久保との関係について「もっと寄ってあげてもよかったかなというのはあります。タケがクロスを上げるだろうと思って、僕も中に入りすぎていたところもちょっとあったのかなと思う。(映像を)見ながら反省したい」と課題を口にした。
日本の得点が生まれたのは2人がピッチを去った後。三笘薫(ブライトン)が先発し、途中出場の中村敬斗(スタッド・ランス)が加わってドリブラー2人を同時に起用した左サイドからの崩しでゴールにつなげた。
26歳の堂安と23歳の久保はこれまでも21年の東京オリンピックなど年代別の日本代表でともにプレーしてきた。ポジションがかぶりがちな2人の共存を可能にしたのが現行の3バックのシステムだった。堂安が所属クラブにおいて、WBでプレーしていたこともあり、森保一監督は今年6月のW杯アジア2次予選のシリア戦で3バックを採用。久保、堂安を先発で同時起用した。大きなオプションとなっていたが、アジアの中では強豪のオーストラリアの策にはまった構図だ。
世界のトップリーグで躍動する2人の実力は疑いようもない。しかし、代表で生かすにはチーム全体の連係を含めてまだまだ研磨が必要だ。
「共存」は今後も続くのか、新たなオプションが必要なのか。堂安は試合後にチームで課題を話し合ったとして、「全てここ(取材)では話せない。ただ一つ言えるのは改善しないと、この先(W杯)本大会に行けば行くほど対策される可能性はあるので」ときっぱり。その「伸びしろ」が日本をもう1ランク上へと押し上げる。【生野貴紀】
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