大相撲秋場所の13日目の20日に現役引退した元大関貴景勝の湊川親方(28)=本名佐藤貴信、兵庫県出身、常盤山部屋=が21日、東京・両国国技館で記者会見に臨み、「燃え尽きた。横綱を目指す体力、気力がなくなった」と語った。言葉を時折詰まらせながら、その顔つきは穏やかだった。

◆3度の綱とり届かず「体力、気力なくなった」

引退会見を行なった貴景勝。右は常盤山親方=21日、両国国技館で(市川和宏撮影)

 夢に挑んだ土俵人生。小学校3年で相撲を始め、横綱だけを目指してきた。優勝4度のうち、大関では3度。綱とりはいずれも失敗に終わり「手はいっぱい伸ばしたけど、届かなかった」。そう振り返りつつ「それまでの道は間違いではなかった」と誇った。  現役中は両膝と首の故障に悩んだ。「けがも合わせて自分の実力」。武士道精神を信条とした元大関らしく、言い訳はしなかった。それでも「若いころは100%準備をして臨めていた。ここ最近はやるべきことをしたくても、できなかった」と苦しい胸の内も明かした。

大相撲秋場所2日目 王鵬㊧に寄り切りで敗れる貴景勝=9日、両国国技館で(浅井慶撮影)

 先場所で2度目の大関陥落となり、復帰に必要な10勝を目指した今場所。結果的に最後の取組となった2日目の一番で、かつて自身の付け人を務めた王鵬に敗れた。同じ埼玉栄高出身の後輩に引導を渡される形になったことに、「最後は王鵬で良かった」とすがすがしい表情を浮かべた。  今後は親方として後進の育成に励む。「根性と気合を持った、そんな力士を育てたい」と第二の人生に向け、目標を述べた。(丸山耀平) 

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