プロ野球・阪神

○阪神6―5DeNA●(21日・横浜スタジアム)

 4点ものリードさえ守り切れず、一度は逆転を許す、まずい試合運び。そんな劣勢をはね返し、阪神が優勝争いに踏みとどまった。決着をつけたのは、佐藤輝明のアーチだった。

 5―5で迎えた延長十回1死走者なし。佐藤はカウント2ボール1ストライクから内角に来た速球を振り抜いた。「完璧な一発が出た」と振り返ったように、とらえた瞬間に確信。右手1本でバットを宙に伸ばした後、ゆっくりと走り出した。

 中堅から右翼方向へ強い風が吹いていたため、「一発を狙っていた」という佐藤の思惑通りの右翼席への特大ソロ。本人もよほど興奮していたのだろう。ヒーローインタビューでは「(打席)内容は忘れたけど、ホームランを打てて良かったです」と喜んだ。

 万事、むらがあるのが佐藤の常だ。4点リードの五回1死一、三塁の好機で併殺打。岡田彰布監督も「ゲッツー、打つと思っとったわ」とお決まりのようにぼやいてみせた。だが、この決勝ソロで帳消しだろう。

 首位を走る巨人が広島に敗れたため、ゲーム差は2に縮小した。22日からは本拠地・甲子園で、その巨人との2連戦だ。岡田監督は「両方は勝てないからな。勝敗はつくやろ。見とったらええやん」と、剣が峰への闘志を燃やしながら、球場を後にした。【岸本悠】

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