高校野球・夏の甲子園準々決勝(19日)
○神村学園(鹿児島)8―2大社(島根)●
今大会屈指の強打者にようやく初打点がついた。注目を浴びる神村学園の4番・正林輝大(しょうばやし・こうだい)は、3回戦までわずか1安打。準々決勝でついに打線を勢いづけた。
1点リードで迎えた七回1死一、二塁。マウンドは五回途中から3番手で上がった大社のエース左腕・馬庭優太だ。左打者の正林は、初球にきた内角やや高めの直球を引きつけて流し打ち、左前適時打とした。「ようやく1本出てほっとした」。終盤での貴重な追加点に一塁上でベンチに向かって、大きくガッツポーズを作った。
正林の適時打に、後続の打者も続いた。5番・岩下吏玖も1ボールからの2球目を流し打つと、打球は左翼手の頭上を越える2点適時三塁打に。「正林が打ってくれるとチーム全体も乗ってくる」と話したように、4番の適時打をきっかけに4得点を奪った。ここまで全3試合を完投してきた馬庭を攻略した。
長打力が魅力の正林は、4強入りした昨夏の甲子園でも4番を務め、今季はプロ注目の強打者に成長した。ただ、今大会は長打を狙う気持ちが先行し「ボールを下からのぞくように見ていた」という。その結果、バットが大振りになり、ボールをうまく捉えられなくなっていた。
「全てはボールの見方から始まる。もう一度『上からボールを見る』ように意識した」。準々決勝を前に、原点である低く、強くたたきつけるようなライナー性の打球を心がけ、打撃の修正に取り組んだ。「(自らの結果を追い求めて)自分勝手になっていた」とも反省した。
苦しみながらも試行錯誤を続けるチームの主砲だが、小田大介監督は「4番は世代を代表するバッターに成長してほしいという意思表示。どんな状態でも代える気はない」と信頼は揺るがない。正林の今大会初打点も「準決勝に向けてめちゃめちゃ好材料」と喜んだ。
「自分はチャンスで1本出すだけ」と正林。チームに欠かせないスラッガーだけに、復調のきっかけにつながるか。【深野麟之介】
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