1日の西武戦に先発したロッテ・佐々木朗希=ZOZOマリンスタジアムで

 プロ野球・ロッテの“パーフェクト”右腕、佐々木朗希投手(22)が2カ月ぶりに実戦マウンドに戻ってきた。1日に本拠地ZOZOマリンスタジアムで行われた西武戦に先発登板し、5回で72球を投げ、3安打1失点で今季6勝目を挙げた。最速160キロをマークしたが、完全復活にはほど遠い内容だった。「今日は野手の皆さんに感謝です」と話した通り、バックにもり立てられてのリスタートとなった。

 一回にいきなりピンチを招いた。2死二塁から右前打を浴びたが、藤原恭大の好送球で本塁タッチアウトで難を逃れた。プロデビュー当時から不調のバロメーターとも言えるのが抜け球だ。ピンチのきっかけとなったのも高めにいった速球をとらえられた中堅への二塁打だった。立ち上がりは、左打者への外角高めにストレートが抜けるケースが散見された。加えて、フォークが今一つコントロールできず、落ち方が中途半端だった。吉井理人監督は「楽しそうに投げていなかった」。その言葉通り、マウンドでの佐々木の表情はさえなかった。

 それでも「徐々に真っすぐだけは良くなってきた」と佐々木。ストレートを中心とした配球でしのいだ。四回に2点を先行してもらった直後の五回には、ボール球ながら160キロを計測した。この回限りで降板したが、最下位に低迷する西武の打線に加え、味方リリーフ陣の好投もあり、白星をつかみとった。

 とはいえ、完璧ではなかったのも無理はない。事前準備としては実戦形式での打撃投手1回のみと、ほぼぶっつけ本番だった。

 今季は先発ローテーションを守り、シーズンフル稼働を期して臨んだはずだった。だが、5月24日のソフトバンク戦で7回1失点で4勝目を挙げた後に1軍登録を抹消された。6月8日に1軍復帰し、交流戦の広島戦で6回1失点で5勝目を挙げた。だが、その後も再びすぐに抹消され、今回の1軍復帰までは2カ月を要した。

 理由は「右上肢のコンディション不良」だった。今月1日の登板後、佐々木自身は「違和感自体は元々あった」と明かした。体のケアについては、本人も「開幕前からしっかりやっていた」と万全の対応をしていたはずだ。しかし、かみ合っていないようだ。

 本人は試行錯誤しながらも「次につなげるしかない」と前向きな気持ちを失っていない。チームは現在2位で、吉井監督も「うまくいって、そのまま(先発)ローテーションに入ってくれれば」と期待を寄せる。

 7日には、中6日で迎える8日に予告先発された。相手は首位を独走するソフトバンクだ。佐々木も「ここからの試合を全力で投げて、残りの試合数でチームに貢献したい」と意気込んでいる。

 競馬好きとしても知られる吉井監督は1日の西武戦後「これで一たたきして。馬でもそんな走らない子もいるんで、これで変わってくると思います」と冗談交じりに語った。競馬用語で休養明けのレースを指す「鉄砲」はまずまずだった佐々木。2022年4月に日本球界で28年ぶりの完全試合を達成した右腕は「二走」で、どんな投球を見せてくれるのだろうか。【岸本悠】

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