高校野球・夏の甲子園1回戦(7日)
○滋賀学園10―6有田工(佐賀)●
今大会での注目の一つが「飛ばなくなった」という低反発バットへの対応だ。春のセンバツではわずか3本塁打(うち1本はランニング本塁打)にとどまった。今夏でどう適応するかは見どころの一つ。両チーム合わせて25安打、16得点の乱打戦となった開幕戦を制したのは、強打に小技、足技を絡めた滋賀学園だった。
一回からいきなり長打が飛び出した。1死一、三塁から4番の岡田幸大が中越え二塁打で2点を先取。有田工に痛烈な先制パンチを浴びせた。
同点で迎えた八回は、したたかに犠打も絡めて大量得点につなげた。先頭の東坂愛琉(あいる)が中前打で出塁すると、2者連続で試みた犠打がいずれも失策を誘って無死満塁に。続く9番・杉本晴基が中前打を放つと、二塁走者の作田健太は中堅手がもたつく間に一気に生還した。
さらに2番・国仲優星が適時打を放った場面では、二塁走者の杉本も左翼手がファンブルしている間に生還。「走りながら打球の行方を確認するだけでなく、止まるよりもスピードを緩めて先に進めるように意識していた」としてやったりだった。この回一挙4得点。勝負を決めるビッグイニングとなった。
強打の背景にあるのが意識してきた低反発バットへの対策だ。杉本は「低い球をセンターから逆方向へ飛ばすことを徹底してきた」と振り返る。低い打球を徹底してきた結果、甲子園での2桁安打につながった。それだけではない。飛ばなくなるために相手の守備が浅くなることを想定し、すきがあれば次の塁を狙う意識も徹底してきた。「低反発バットになって、よりこだわってきた」と作田。八回にはその成果が凝縮されていた。
滋賀学園はこの試合で長打3本を含む12安打を放った。強打の滋賀学園らしく山口達也監督は、試合前に「5点くらい取れたらいい」と話していたが、終わってみれば倍の10得点。小技や走塁の技術が加わり、多彩な攻撃力でつかんだ夏の甲子園初勝利だった。【磯貝映奈】
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