パリ・オリンピックを巡り水質への懸念から実施の可否が話題となっていたセーヌ川での遠泳系競技で、大会組織委員会は30日、同日午前に予定されていたトライアスロン男子のスイムは一部の水質基準を満たさず行えないと判断し、競技自体の31日への延期を発表した。
組織委によるとトライアスロン男子は、当初現地時間で30日午前8時(日本時間午後3時)から開催予定だったが、31日午前10時45分(同午後5時45分)からへと延期される。31日は午前8時から女子の競技が予定されており、男女同日開催となる。
組織委は延期の理由として、セーヌ川の一部の地点で水質データの測定値がレース開催の許容値を超えているとしている。
セーヌ川を巡っては、26、27日にパリ市内で雨が降った影響で水質が悪化し、28日に予定されていた公式練習が中止となった。29日も基準を満たさないとして公式練習が連続で中止となったが、この日、組織委は「水質は急速に改善しており、予定通り競技を実施できると確信している」とのコメントを発表。一方で、基準に達しない場合は延期も示唆していた。
延期が発表されると、SNS(ネット交流サービス)では「そもそも実施は無理だったのでは」「本当に選手ファーストなのか」などとセーヌ川での開催を疑問視する声が相次いだ。
セーヌ川は水質が悪化した影響で1923年以降、遊泳が禁止となった。近年も一定規模以上の雨が降ると、近隣の下水が雨水とともに川に流入するなどして、水質が一時的に悪化する状態が続いていた。
パリ市などはパリ五輪を契機に下水の流入を減らせるよう巨大な地下貯水場を整備したり、下水道整備を進めたりするなどの対策を講じてきた。【パリ木原真希】
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