読売新聞大阪本社は、小林製薬の健康被害問題で取引先企業の社長の談話を捏造した社会部主任の記者を諭旨退職、取材した記者を記者職から外す職種転換と休職1カ月の処分にすると発表しました。

■企業社長の談話を捏造

談話の捏造があったのは、6日夕刊の「紅麹使用事業者憤り」の記事。
企業の社長が実際は話していないのに、「突然、『危険性がある』と言われて驚いた」「補償について小林製薬から明確な連絡はなく、早く説明してほしい」との嘘の談話を載せ、写真に「『早く説明がほしい』と訴える社長」と説明を付けていました。

社会部主任は、岡山支局からの原稿が小林製薬への憤りという「自分のイメージと違った」として勝手に書き加え、取材記者も、企業社長が言っていない内容と分かりながら修正と削除を求めませんでした。

■編集幹部も認識甘く 事実と異なる訂正記事掲載 更迭へ

記事を掲載した後、企業の社長から抗議を受け、大阪社会部と岡山支局は問題を把握したにも関わらず、編集幹部らは、事態を甘く見て捏造と明確に認識せず、8日夕刊に「確認が不十分でした」とする事実と異なる訂正記事を掲載しました。

最終的に訂正記事をきっかけに東京本社編集局が指摘したことで、捏造を確認したということです。

読売新聞大阪本社は、8日の夕刊に掲載した訂正記事も事実と異なる内容だったため、二河伊知郎執行役員編集局長を給与の3カ月30%返上、編集局総務と社会部長をそれぞれ休職2カ月の処分とし、いずれも近く更迭するとしています。

■社長は報酬10%カット

また、柴田岳代表取締役社長も報酬の3カ月10%を返上するとしていて、柴田社長は、「取材結果を曲げることは決してあってはならず、取材・執筆した記者が最後まで記事に責任を持つとともに、抗議を受けた場合は真摯に受け止め、事実に誠実に対応する姿勢を徹底してまいります」とコメントしています。

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