太陽光発電のイメージ=ゲッティ

 環境、経済産業両省は16日、使用済み太陽光パネルのリサイクルを義務化し、費用をパネルの製造業者などに負担させる制度案を両省の審議会の合同会議に示し、大筋で了承された。耐用年数を過ぎたパネルが今後大量に発生することを踏まえた対応で、義務化を盛り込んだ新法案を来年の通常国会に提出する。

 両省の案によると、原則として太陽光発電設備の解体費用は設備所有者、パネルのリサイクル費用は製造業者(海外製造分は輸入販売業者)が負担する。国は第三者機関を費用を管理する組織に指定。所有者は設備の使用開始前、製造業者は販売時などに第三者機関に費用を支払う。使用が終わった段階で、第三者機関が設備所有者に解体やリサイクルの費用を交付して処理を進めてもらう。

 太陽光パネルの耐用年数は20~30年とされ、リサイクルを実施するときに製造業者が既に存在しない可能性もある。また所有者が設備使用後、費用負担を避けようと放置・不法投棄する恐れもある。新たな制度は初期段階に費用を確保することで、着実に解体、リサイクルを実施する狙いがある。不法投棄の可能性が低い住宅用の解体費は、事前支払い義務の対象外とする。

 放置された場合は、第三者機関が確保していた費用を活用して自治体が処理する。ただし、現状では放置事例が少なく、想定外の問題が発生する可能性もあることから、両省の案では「未然防止の取り組みを講じた上でも対応が不十分な場合、追加的な対応の検討が必要」としている。

 環境省によると、太陽光パネルの廃棄量は2030年代半ばにピークを迎え、年50万トンに上ると試算される。現状では大半が埋め立て処分され、リサイクル設備の処理能力は年7万トン程度で、処理設備の拡大も課題となる。【山口智】

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