街にイルミネーションがともされ、クリスマスシーズンがやってきた。
子どもたちが寝静まった聖夜、煙突からこっそり入って枕元にプレゼントを置く。そんなサンタクロースは、「故郷」とされるフィンランドにはいないという。
家族みんなでサウナ
フィンランド大使館の報道・文化担当参事官、レーッタ・プロンタカネンさん(46)によると、クリスマスの祝日は24、25、26日の3日間。メインはイブの24日で、家族や親族、もしくは同じぐらい親しい人と過ごす。
この日は正午、古都トゥルクの大聖堂の鐘が鳴り、市長が「クリスマス平和宣言」を読み上げる。その様子はテレビ中継され、国中の人たちが見守る。
多くの家庭ではその後、キャンドルを持って先祖の墓参りをするのが恒例だ。ディナーを食べる前には、家族みんなでサウナに入るという。
クライマックスは子どもたちへのプレゼントだ。
「サンタは子どもが起きている時間に玄関のドアをノックして登場し、直接プレゼントを渡します」。ふんしているのは、多くが事前にお願いした近所のおじさんたちだという。
プロンタカネンさんは幼い頃、アメリカ映画でサンタが夜中に煙突から入るシーンを見て驚いた記憶がある。
親に尋ねると、「サンタさんは他の国にも行かないといけない。まず先にフィンランドの子どもたちの家を回ってから出かけている」と説明を受けたという。
「楽しむモード」最大限に
大人も子どもも、この季節を最大限に楽しむ。クリスマスまでの日数を数える「アドベントカレンダー」は最近、日本でも見かけるようになった。
プロンタカネンさんは「今も、父は毎年このカレンダーを送ってきます。私が世界中のどこにいても」と笑う。
クリスマスカードを送り、仲間と小さなパーティーをいくつも開き、期待感を高めていく。
ローストチキンは食べない
大使館のシェフ、エーミル・ライタラさんは2日、メディア関係者にクリスマスの食卓に登場する伝統料理を披露してくれた。
欠かせないのがホットドリンクの「グロッギ」だ。ワインやジュースに、オレンジの皮や八角、クローブ、シナモンスティックといったスパイスを加えて温める。
メインディッシュの「ヨウルキンック」(豚ハム)はオーブンで時間をかけて焼き上げる。自家製マスタードを添えることが多い。
ちなみに日本では、ローストチキンなどの鶏肉料理が店頭に並ぶが、アメリカの影響とみられる。フィンランドではクリスマスに鶏肉を食べる習慣はない。
プロンタカネンさんは「フィンランドのクリスマスマーケットは有名だけど、祝日はみんな家族と過ごしたいので観光地以外はお休みが多い。旅行するときは気を付けて」とアドバイスする。【太田敦子】
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