“紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家の男性を殺害した罪に問われている元妻の裁判員裁判。
山場ともいえる検察側の被告人質問が行われましたが、元妻の口から新たな事実は語られたのでしょうか。

“紀州のドン・ファン”の元妻に対する被告人質問の2日目。
事件解明の鍵となる覚醒剤購入の真相は明らかになるのでしょうか。
検察側に、これまでの供述の矛盾を突かれたり、被告の元妻が言葉に詰まる場面がありました。

2018年、和歌山・田辺市の資産家男性、“紀州のドン・ファン”こと野崎(崎は立つ崎)幸助さん(当時77)が急性覚醒剤中毒で死亡した事件。
野崎さんに覚醒剤を摂取させたとして殺害した罪に問われている須藤早貴被告は、11日も上下黒のパンツスーツで法廷に現れました。

午前中に行われた弁護側の被告人質問では、8日に引き続き、2人の結婚生活についてあけすけに語る場面が。

弁護人:
遺産目的の結婚というふうに周りから言われていることに対してどう思う?

須藤早貴被告:
誰にも(遺産目的の結婚であることを)隠してないし、社長(野崎さん)も周りに(毎月)100万円渡していることを言っているので。

弁護人:
2人の婚姻関係はどういったもの?

須藤早貴被告:
お金の関係。

また、弁護側からは早貴被告のスマホに残されていた検索ワードに関連する質問も。
野崎さんが死亡する前に「完全犯罪」「老人 死亡」などの検索をしていたとされる早貴被告。この点について…。

須藤早貴被告:
昔から特殊な殺人事件とか、グロテスクなものを調べるのが好きでした。

弁護人:
「完全犯罪」と調べているが?

須藤早貴被告:
不気味な殺人事件や未解決の事件が好きで調べた。

弁護人:
(事件2カ月前の)3月に「老人 死亡」などの検索履歴があったが?

須藤早貴被告:
直前に見ていた動画が関係しています。老人ホームで3人が転落した事件で、殺害した男のインタビューを再生していた。

野崎さんの事件とは関係なく、「完全犯罪」「老人 死亡」などの言葉を以前から調べていたと主張しました。

野崎さんが死亡したあとのことについては…。

弁護人:
葬儀の時、あなたがスマホをいじっていたり、笑っていたと証言(があるが)本当か?

須藤早貴被告:
(参列者の1人が)葬儀中に「疲れた」みたいなジェスチャーしてきて、それで笑ったことはあるかもしれないけど。(スマホについて)葬儀の前はいじっていたけど、葬儀中はいじってないと(周囲は)言ってくれている。

そして早貴被告は、野崎さん死亡後、会社の役員に就任したことについては次のような主張を展開しました。

須藤早貴被告:
(弁護士に)生活費だけはなんとかもらえないかと。(弁護士に)社長から(月)100万円もらえなくなったので、代表になったら給料として月30万円もらえる?と。その後(弁護士から)役員報酬として3000万円渡せると。法律を何度も確認したが問題ないと言われたので。

そのうえで、改めて野崎さん殺害の事実について「一切ない」とした早貴被告。

こうした主張に対し、午後から行われた検察側の被告人質問では、覚醒剤購入に関する矛盾について追及されました。

弁護側の質問では、男性機能の不調を訴えた野崎さんから、4月以降に覚醒剤購入を頼まれたと主張していましたが…。

検察側:
あなたの(覚醒剤費用の)入金、4月1日の午後2時58分。4月以降買ってこいというのと話が違う。

須藤早貴被告:
記憶間違っているのかも。

検察側:
(覚醒剤の売人に) 何で「ダンナに内緒」と言った?

須藤早貴被告:
急いでもらうのに、せかす理由で、設定して…。

検察側:
野崎さんにせかされていたなら「ダンナにせかされていた」と言えばよかったんじゃないのですか?

須藤早貴被告:
あー…思いませんでした。

なぜ早貴被告は、売人に「野崎さんにせかされて」と言わずに「内緒」と言ったのか。
検察側の追及に言いよどむ場面も。

11日の被告人質問で質問が及んだ早貴被告のスマホの検索履歴について専門家は…。

元東京地検公安部長・若狭勝弁護士:
完全犯罪だとか、老人の事件とか、普通の人はあまり(検索を)しない。被告人には不利に働くと思う。被告人が殺害したというところに強い形で結びつけるということは難しい。

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