茨城県土浦市の安藤真理子市長は5日の定例記者会見で、「第93回土浦全国花火競技大会」が悪天候や予備日の警備員不足で中止となったことについて「安全な運営を最優先に考え、苦渋の決断となった。この教訓を来年の『100周年記念大会』に生かしたい」と頭を下げた。中止を発表した1日以降、4日までに市には計3600件の苦情電話などがあった。市は、中止に伴う経済的損失について「今後、数字を精査する」としている。
市商工観光課によると、昨年大会には市内外から約60万人が訪れた。今回も同規模の人出を見込み、大会実行委員会は雑踏警備などにあたる警備員約470人の委託費として1800万円を計上。ただ、予備日については予算を確保しなかった。
市は遅くとも10月中旬には、警備業界の労働力不足を背景に人員不足の懸念があると認識したが市商工観光課の担当者は「県内外の会社に声かけし、ぎりぎりまで確保に努めていた」と説明。再発防止策については「来年大会に向けて速やかに警備会社と協議したい」とした。ただ構造的な人員不足が背景にある中で確保できるかは不透明だ。
販売済みの有料マス席やイス席の料金(計約2億円)と手数料を加えた全額は、購入者に返金される。今後、大会実行委のホームページなどを通して周知されるという。
安藤市長は「100周年を迎えるこの段階で、火を消してはならない。二度と起きないようしっかりと検証して来年につなぎたい」と語った。今後、市は議会にも経緯などを説明する方針だ。【鈴木美穂】
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