警察車両の後部座席で、にらみつけるようにじっと前を見る男。
この男の逮捕が、関東を中心に相次ぐ強盗事件の実態解明につながるのでしょうか。

10月1日、埼玉・所沢市で85歳の男性が暴行を受け、現金16万円などが奪われた強盗致傷事件。

その実行役3人を闇バイトに誘い強盗をさせたリクルーター役とみられるのが、愛知県の会社員・名倉優也容疑者(31)。

名倉容疑者は「消費者金融に数百万円の借金があり、金に困っていて闇バイトに応募した」と供述。

一連の闇バイト強盗で初めて逮捕されたリクルーター役。

闇バイトに詳しい犯罪ジャーナリスト・多田文明さん:
基本的にリクルーターは犯罪組織に引き入れるための面接をする。指示役とスゴく近い関係の人が多い。

実際に強盗を行う実行役より上の立場で、さらに上の指示役に、より近い存在だといいます。

闇バイト勧誘の入り口となるSNSには、「即日即金」や「報酬高額案件」など甘い誘い文句が並びます。

こうした闇バイト募集投稿にFNNの記者が取材用に作ったアカウントで応募してみたところ、反応がありました。

メッセージには、リクルーターとみられる人物からの仕事の案内。
「かなり稼げる仕事の枠が急きょ1つ空いたのでご連絡させていただきました」と記載されています。

そして、記者の元に電話がかかってきました。

リクルーター役:
もしもし。

記者:
もしもし、聞こえてますか?

リクルーター役:
はい、お疲れさまです。

記者:
お疲れさまです。

リクルーター役:
早速なんですけど、何個か質問がありまして。今お住まいはどちら?

記者:
福岡なんですけど。

リクルーター役:
年齢は?

記者:
29歳です。

突然始まった、闇バイトの選考。
職業や免許証の有無、さらに貯金額など矢継ぎ早に質問が飛んできます。

リクルーター役:
出張可能ですか?

記者:
できます。

リクルーター役:
お!分かりました。内容が「UD」というものになるんですよ。(高齢者宅等から)カードを受け取って、近くのコンビニで下ろし、それをまた次の人間に渡してもらう。

提示された「UD」という案件は、特殊詐欺の「U=受け子」と「D=出し子」とみられ、提示してきた報酬は1回あたり5万~10万円。

事実であれば明らかな犯罪行為です。

記者:
私が受け取ったものを持っていなくなったらどうなる?

リクルーター役:
必ず捕まえに行く。それなりに痛い目に遭う。最悪、親のところにも行きますし。

さらに、強盗についても尋ねたところ…。

記者:
強盗とかって?

リクルーター役:
そういうのでは全くないです。やりたいですか?

記者:
(求人は)あるのはある?

リクルーター役:
まぁ、はい。タタキ(強盗)の方がいい?

記者:
タタキの方が稼げる?

リクルーター役:
正直、タタキって運なんですよ。実際にタタキに行ったら20万円しかないとか。金にならないし、罪重くなるので。

「強盗も紹介できる」と明言。
ここで記者は身分を明かしました。

記者:
実は私、テレビ西日本の記者ですが、このままお話聞いても大丈夫か…。

リクルーター役:
…(プーー)。

このあと、リクルーターの男と連絡がつくことはありませんでした。

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