長野県佐久市で2015年、男子中学生が車にはねられて死亡した事故を巡る裁判。ひき逃げの罪に問われ、二審で「逆転無罪」を言い渡されていた男性について、最高裁は、12月に弁論を開くことを決めました。判決が見直される可能性があり、遺族は「信じて待ち続けていた」としています。

■母「信じて待ち続けてきた」

母・和田真理さん:
「このまま刑が確定してしまうようなことがあってはいけないというふうに思っていたので、弁論が開かれる日が来ることを信じて待ち続けていました」

亡くなった男子中学生の両親は10月31日、オンライン取材に応じ、最高裁の弁論実施の決定を「信じて待ち続けていた」などと語りました。

■一審は「ひき逃げ」実刑判決

2015年、佐久市で、当時中学3年生(15歳)の和田樹生さんが車にはねられて死亡した事故。

運転していた男性(51)については、過失運転致死の罪などで2度裁判が行われましたが、和田さんの両親は救護義務違反「ひき逃げ」の罪での起訴を求めて独自に調査して告訴。検察はその後、「ひき逃げ」の罪で起訴し、3度目の裁判が行われていました。

男性は事故を起こした直後、飲酒運転を隠そうと近くのコンビニ店へ行き、口臭防止剤を買って服用していて、一審の長野地裁は「ひき逃げ」にあたると認定し、懲役6カ月の実刑判決を言い渡しました。

■二審は「逆転無罪」

しかし、二審の東京高裁は、「コンビニ店には行ったが、すぐに現場に戻って救護活動を行った」などとして、一審判決を破棄し、逆転無罪を言い渡していました。

判決の後、両親はー。

母親・真理さん(2023年9月28日):
「被害者の生命や身体の保護を全く無視した判決。最低の判決。樹生にかける言葉が見つからない。こんな国に産んでごめんねとしか言えない」

■逆転無罪が見直される可能性

判決を不服として東京高検が上告していましたが、最高裁はこのほど、12月13日に検察側と弁護側双方の主張を聞く弁論を開くことを決めました。最高裁の弁論は、結論を変更する際に必要な手続きで、無罪を言い渡した二審の判決が見直される可能性があります。


■「国民の良識に沿った判断を」

父・善光さん:
「高裁の判決の中では、救助の意思を持っていたら現場を離れてもいいと判断が下されたと、私は個人的に理解しているので、そんなことは決してあってはならないと」

母・真理さん:
「最高裁では被害に遭った被害者の生命というのを、第一に考えていただいて、国民の良識に沿った判断をしてほしいと思っております」

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