全国初のカスタマーハラスメント条例が成立した東京都で、悪質な客は「出入り禁止」にするなど、具体例を示した事業者向けの共通マニュアルの素案がまとまりました。

東京都では、2025年4月から全国で初めてとなるカスハラ防止条例が施行されます。

素案では、場面ごとのカスハラに対応する事業者向けの共通マニュアルがまとめられました。

マニュアルには、「長時間の拘束」の事例で電話で顧客から何度も同じ主張を繰り返され堂々巡りの状況が続く場合は、対応を打ち切る旨を伝え「電話を切る」など、対応時間の目安や業界のルールを定めるよう推奨しています。

また、対面で顧客から「土下座して謝罪しろ」などと要求された場合は、明確に迷惑行為であるため対応できないことを伝え、強要罪にも該当し得るため、毅然とした態度で「拒絶」することが重要だとしています。

さらに、商品やサービスの内容に不備や問題があった場合でも、原則、等価交換と謝罪以上の対応は必要ないとしています。

そして、カスハラをした人物が再び来訪した場合は、施設管理権などに基づいて、施設への「出入り禁止」の措置をとることが可能だとしています。

ただ、個人の差別につながるものや正当な理由のない出入り禁止の措置は損害賠償責任を負う可能性があり、慎重に検討するように呼びかけています。

一方で、顧客の外見や話し方の印象でカスハラと決めつけた対応は避けるよう注意が必要だとしています。

認知症の方などの中には、感情的な発言をしてしまう方もいることが考えられるため、支障のない範囲で合理的な配慮をするなど、顧客に寄り添って対応することも求めています。

東京都は今後、この素案をもとに共通マニュアルを策定してカスハラ条例の実効性を高めていきたいとしています。

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