東京地裁=東京都千代田区で2020年1月15日午前10時36分、米田堅持撮影

 東京拘置所に収容されている死刑囚が、居室に設置された監視カメラでプライバシー権を侵害されたとして国に約1900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(西村康一郎裁判長)は25日、国に55万円を支払うよう命じた。

 判決によると、死刑囚は、1審で死刑判決を受けた後の2007年10月に東京拘置所に入所。自殺の恐れがあるとして、監視カメラが設置された3畳半ほどの居室に収容された。13年に死刑が確定し、22年3月までカメラ付きの居室での生活が続いた。

 判決は、カメラ付きの居室での生活は全てを監視されている心理的負担があり、排せつ時には陰部が映ることもあるため、プライバシー制約の程度が極めて強いと指摘した。この死刑囚は刑が確定して一定期間が経過した後は心情が安定して突発的に自殺を図る心配は徐々になくなっていたとし、18年以降もカメラ付きの居室に収容し続けたことは違法だったと認めた。

 法務省矯正局は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。死刑囚の代理人弁護士は「カメラ設置の心理的な負担を重く捉えており、意義がある」と話した。【菅野蘭】

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