赤坂御用地を散策される上皇ご夫妻=東京都港区で2024年10月4日(宮内庁提供)
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 上皇后美智子さまは20日、卒寿となる90歳の誕生日を迎えられた。立て続けに地震と豪雨に見舞われた能登半島の被災者を思い、住まいのある赤坂御用地(東京都港区)での散策や外出を控える時期が続いた。10月に入って右大腿(だいたい)骨上部を骨折し、退院後も車椅子での生活が続く。毎日リハビリに励み、上皇さま(90)とともに日課とする本の音読を再開させたという。

 側近によると、美智子さまは新聞やテレビの報道を通して各地の話題を気にかけ、上皇さまとかつて訪問した場所や出会った人の思い出話に花が咲く日もある。文学や音楽を通した交友関係も大切にし、児童文学者の故松岡享子さんをしのんで著書「子どもと本」を再読した。

 上皇さまと規則正しい生活を続け、骨折前の散策では、季節の草花や鳥など身近な自然を楽しんでいた。ただ、散策の途中に休憩を挟むなど体力の低下もみられ、上皇さまが「大丈夫?」と気遣う場面がよくあった。今年5月には上皇さまが戦時中に疎開した栃木県日光市を訪問。戦争や戦時下の暮らしを振り返るために戦後70年の2015年に計画した旅で、災害発生に伴う延期などを挟み、10年越しで実現した。

 美智子さまは10月6日、仙洞御所で転倒して骨折。手術を経て退院し、歩行機能の回復に向けたリハビリを続ける。再開した音読の本は「戦争と沖縄」(池宮城秀意著)で、上皇さまが沖縄関連の蔵書から選んだ。

 天皇、皇后両陛下や宮内庁幹部から祝賀を受ける誕生日行事は、昨年同様に行う予定。側近は「上皇さまをお支えしたいとのお気持ちは変わらず、気を落とすことなくリハビリに努めておられる」と話している。【山田奈緒】

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