前橋地方検察庁=妹尾直道撮影

 群馬県伊勢崎市の国道で5月、トラックが対向車線の車2台と衝突して2歳児を含む5人が死傷した事故で、前橋地検は11日、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)で起訴した被告について、法定刑がより重い危険運転致死傷への訴因変更を前橋地裁に請求した。被告は運転前に飲酒していたとされ、家族3人を亡くした遺族が9月27日、訴因変更を求める要望書を地検に提出していた。

 事故では群馬県警がトラック運転手、鈴木吾郎被告(70)=同県吉岡町=を危険運転致死傷容疑で逮捕し、地検が過失運転致死傷で起訴した。訴因変更について地検の布村希志子次席検事は「起訴後も捜査を継続し、アルコールの影響によって正常な運転ができなかったという事実を認定できると判断した」と述べた。

 訴因変更請求書などによると、鈴木被告は5月6日午後4時15分ごろ、伊勢崎市の国道17号でトラックを運転。時速約90キロまで急加速するなどして中央分離帯を乗り越え、対向車線の乗用車2台と衝突し、前橋市の会社員、塚越寛人さん(当時26歳)と息子の湊斗(みなと)ちゃん(同2歳)、塚越さんの父正宏さん(同53歳)を死亡させるなどした。

 地検の請求を受けて湊斗ちゃんの母は「ほっとした。最後まで裁判を見届けたい」、祖母ら他の遺族は「やっとスタートラインまで来たが(鈴木被告から)いまだに謝罪がないのは残念」とコメントした。

 危険運転致死傷は法定刑の上限が懲役20年で、過失運転致死傷の懲役7年より重い。地裁が訴因変更を認めれば、裁判員裁判で審理されることになる。【日向梓、加藤栄】

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