JR京都駅近くの崇仁地区に移転し1年を迎えた、芸術系大学として日本最古の京都市立芸術大学(京都市下京区)は11日、スペイン・バルセロナで建設中の世界遺産「サグラダ・ファミリア教会」にかつて設置されていた石こう像9体を来年1月からキャンパス内に常設展示すると発表した。OBでもあるサグラダ・ファミリア主任彫刻家の外尾悦郎氏が同大の移転を記念し、寄贈。補修・設置費用などをクラウドファンディング(CF)で募る。
石こう像は「歌う天使たち」という名で、建築家ガウディが残した資料を手がかりに外尾氏が制作した。キリスト誕生を祝う場面を表した同教会の「生誕の門」に、1990年から2000年まで実際に設置されていた。00年に石像に置き換わったが、石像の原型として文化、芸術的価値が高いという。撤去された後は外尾氏が所有し、23~24年に日本各地で巡回開催された「ガウディとサグラダ・ファミリア展」でも展示されるなどした。
石こう像9体と設置台を合わせて計約1トンで、高さ約3メートル、横幅約5メートル。B棟地下1階の笠原記念アンサンブル・ホールの入り口付近に展示予定だ。調査や補修、工事費用などで4500万円がかかり、そのうち3000万円をCFで募る。期間は11日から来年1月8日までで、目標金額に達しなくても工事は実行する。
外尾氏は「自分の彫刻家としての骨格を作ってくれた大学で、学生たちの教育教材として生かしてもらえたらありがたいと考えた。この子たちも大変喜んでいると思う」などとコメントを寄せた。
CFはサイト「THE KYOTO」で受け付ける。サグラダ・ファミリア教会の写真をプリントしたクリアファイルやなどの返礼品がある。
また、11日に赤松玉女学長が会見し、移転したこの1年を振り返った。移転直後の23年11月の「芸祭」の来場者数は9348人で、22年から倍以上増加した。その他のイベントやコンサートの来場者も増えており、赤松学長は「この土地のポテンシャルを実感した」と強調した。【大東祐紀】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。