埼玉県と東京都の連続強盗事件では、指示役が複数いる可能性が浮上している。捜査関係者は「実行役には入れ代わり立ち代わり指示がきているとみられる」と指摘する。
9月18日にさいたま市西区であった事件で、実行役は闇バイトで募集された。高額報酬をちらつかせつつ、「荷物の搬送」など犯罪関連ではない「ホワイト案件」との呼びかけだった。
その後、秘匿性の高い通信アプリの使用を案内され、本人確認として身分証の画像の送信を求められた。
しかし同じような経緯で集まった「仲間」と合流すると、指示役とみられる人物の態度が急変した。実行役は突然、強盗の実行を求められ、ためらうと「個人情報を知っている」、「覚悟しろよ」と脅迫された。
そして事件後、実行役とされる4人は、報酬を受け取ることなく逮捕された。
一連の連続強盗で逮捕された容疑者の中には「代わる代わるいろんな人から指示を受けた」と供述している人もいるという。
捜査関係者は「実行役をパニックにさせて冷静な判断能力を奪う。追い込み方が巧妙」と指摘。「何人かから指示がきているとみられ、実行役には『背後にあるのは組織だ』との認識が植え付けられ、恐怖心も出てくるのだろう」とみる。
2022~23年の「ルフィ」などを名乗る指示役らによる広域強盗事件も指示役は3人いたとみられている。実行役は被害者宅に押し入った際に、スマートフォンを通話状態にして、指示役から指示を受けていたとみられる。この行動は指示役による実行役の「監視」と指摘する声もある。
今回の連続強盗でも実行役がスマホで指示を受けていた事件があった。
警察庁によると、SNS(ネット交流サービス)で緩やかに結びつく「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」による強盗や窃盗などの事件は、21年9月~今年9月、22都道府県で計93件が確認された。捜査関係者は「実行役は駒として使われるだけ。安易に加担すべきではない」と指摘している。【安達恒太郎、岩崎歩】
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