「学校インターンシップ」という取り組みです。インターンシップは一般企業を目指す学生の就職活動の一つとして定着していますが、今、学校でもインターンシップが行なわれているんです。教員を目指す大学生に、教育実習とは別に早い段階で現場を経験し教員という仕事の実際を知ってもらおうという取り組みです。

石巻市立飯野川小学校です。
宮城教育大学１年生の今野彩弥さんは「目標とする教師像を明確にし、大学で学ぶ糧にしたい」と学校インターンシップに参加し、６年生の教室で授業の運営について学んでいました。

宮城教育大学１年 今野彩弥さん
「自分が小学生の頃、担任を持ってくれた先生が授業している姿とか、休み時間の姿にすごく感銘を受けてかっこいいなと感じ、自分も教師になりたいと思った」

「学校インターンシップ」は宮城県が教員を志す大学生を対象に、５年前から実施している体験型プログラムです。教師を目指す学生は大学３、４年で教育実習に行きますが、「学校インターンシップ」はそれより前、大学１年生から参加でき、参加者の７割を１年生が占めています。期間は１人の学生につき５日間ほど。原則、参加する学生の母校で行うものとされています。

宮城県教職員課 工藤駿課長
「教師を志す大学３、４年生は教育実習という形で学校に入ることになるんですけど、より“早期の段階”で特に１、２年生の段階から学校現場で生の体験をするということで、教職に対する関心をより高めたり大学で理論を学ぶ際にも好影響を与えるのではないかと考えている」

また、教員を志望する学生を増やしたいという狙いもあります。

宮城県教職員課 工藤駿課長
「近年就職事情では売り手市場と言われているが、そういった状況の中において、学生もただ単に働き甲斐だけでなく、処遇面や勤務環境という面も考慮しながら、シビアに我々も選ばれる側だと思っている」

「学校インターンシップ」２日目を迎えた今野さん。この日の２時間目は理科。「先生側」からみる授業風景に、まだまだ緊張している様子でしたが…次の時間、算数の授業で児童が悩んでいることに気がついてアドバイス。児童との距離が少し縮まりました。授業の後半は小テストの採点を任されました。

今野さん「ちょっと違うかな。０から５だから…」
児童「あ、そっか間違えた。移動してた。すみません！」

子供たちと接する姿が、少しずつ「先生と生徒」の関係に変わっていきました。

６年生の児童
「彩弥先生は教え方が分かりやすくて、問題が分かりづらくても、違う言い方で的確に教えてくれました」

宮城教育大学１年 今野彩弥さん
「きょうは子供たちが、きのうよりフランクに接してくれるので楽しめてます」

短期間で成長を実感できるのも「学校インターンシップ」の良さの一つです。６年生の担任を務める井場先生は、今野さんの将来に期待していました。

井場郁美先生（担任）
「子供たちに優しく接してくれているので、とても助かっている。一生懸命だし優しさもあるので、将来先生になったときも楽しみだなと思って見ていました」

教員を志望する今野さんにとって、大学１年生の今、現場に入ってノウハウを学んだことはモチベーションの向上につながったようです。

宮城教育大学１年 今野彩弥さん
「子供たちから先生と呼ばれるのが新鮮なんですけど、その度にうれしいというか新鮮な気持ちになるのは楽しいし、うれしいこと。子供たちとしっかり会話をして、授業や休み時間にしっかり様子を見て、子供たちからちゃんと信頼されるような、そんな教師になりたいと思う」

そんな今野さんを中鉢晶子校長も暖かく見守っていました。教員歴２６年目という自身の経験をもとに、教員の仕事のやりがいをこう話します。

中鉢晶子校長（教員歴２６年目）
「担任をしていたときは、子供たちができなかったことができるようになったとか分からなかったことが分かるようになった、それから行事でみんなで一体感を持って何かを成し遂げた時の子供たちの笑顔が大好きで、それを励みに仕事をしてきました。先生方は自分で信念を持って、これは譲れないと思うことを一生懸命やってくださっているなと感じる。それで子供たちが伸びた時に、やはり先生方、頑張ってよかったと思ってらっしゃるんじゃないかと思う」

宮城県教職員課 工藤駿課長
「処遇改善や働き方改革といったことも必要であると思うし、それと同時に子供たちの成長を身近で感じる教職ならではの体験であったり、教職ならではの魅力発信を強化していきたい」

教職のやりがいを伝え、同時に働く場所の実態を知ってもらうことは、教員の仕事を憧れだけでなく現実の職業として捉える“第一歩”になっているようです。

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