国連女性差別撤廃委員会による審査の意義を説明する林陽子弁護士(中央)やNGOのメンバーら=東京都千代田区で2024年9月24日午後1時3分、深津誠撮影

 国連女性差別撤廃委員会による対日審査を10月に控え、女性らの権利保障などの活動をしているNGO8団体は24日、東京都内で記者会見し、選択的夫婦別姓の導入など日本の女性を巡る人権問題について委員会に訴える方針を説明した。

 審査は女性差別撤廃条約に基づくもので、スイス・ジュネーブで10月17日に行われる。日本が審査対象になるのは2016年以来。

 委員会は03、09年の審査で、夫婦同姓を民法で義務づける日本の制度は「差別的」として改善勧告。16年には「勧告への対応がなく遺憾」と重ねて指摘している。勧告に強制力はないものの、男女で異なる結婚可能年齢を定め、女性にのみ離婚後に一定期間の再婚禁止規定を設けた民法の規定は、いずれも16年の勧告後に改められている。

 一般社団法人「あすには」(東京都)は、日本が世界で唯一、別姓の婚姻ができない国であることや95%の夫婦が夫の姓を選ぶ現状は、結婚により姓を手放す負担が不均衡であることなどを訴える予定。内閣府の21年度調査で20~39歳の独身女性が「積極的に結婚したいと思わない理由」に「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」を選んだ割合が25・6%に及ぶことを引用し、「現在の制度は少子化にもつながり、国力を落とすことにもなるのではないか」と問題提起した。

 女性差別撤廃委員会で15~17年に委員長を務めた林陽子弁護士は会見で「日本は他のテーマでは勧告を受け入れてきたが、岩盤のように動かないのが選択的夫婦別姓制度。過去2回続けて『最重要事項』として改善勧告がされており、今回は年月を区切るなど踏み込んだ勧告を期待したい」と述べた。【深津誠】

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