和歌山県田辺市の認可外保育施設で2023年7月、生後5カ月の女児が意識不明の状態で病院に搬送され、死亡していたことが遺族への取材で明らかになった。女児は寝返りでうつぶせになった際に窒息した疑いがある。施設では当時、代表の女性保育士が国の基準に反して1人で複数の乳幼児を見ていたことも判明。県は5日に検証委員会を設置し、当時の経緯について調査を始める方針を固めた。
県警も捜査
この施設は「託児所めぐみ」(休園)で、06年から乳幼児を一時的に受け入れている。和歌山県警も業務上過失致死容疑を視野に捜査している。
遺族らによると、亡くなったのは大阪府泉大津市の柴尾心都(こと)ちゃん。母親(28)は23年7月25日午前、田辺市を訪れた際に心都ちゃんを託児所に預けた。
代表はその後、託児所のベッドでうつぶせのままぐったりしている心都ちゃんに気づいた。心都ちゃんは意識不明の状態で市内の病院に救急搬送され、間もなく死亡した。県警が司法解剖した結果、死因は窒息とみられることが確認された。
この託児所には代表を含めて2人の保育士がいるが、もう1人はこの日休みだった。事故のあった時間帯は、代表が心都ちゃんら0~6歳の乳幼児計4人を1人で対応していたという。
認可外保育施設を巡っては、複数の乳幼児を預かる場合、国の指導監督基準で2人以上の保育者を確保することが定められている。この基準に罰則はないが、行政指導の対象になる。
また、国の事故防止ガイドラインは窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)の危険性を考慮し、原則として保育施設で乳児をうつぶせで寝かせないことも求めている。
代表「長年の経験で…」
託児所は必要な保育士数をそろえず運営したことで事故防止に必要な注意義務を怠り、心都ちゃんのうつぶせ寝を見逃した可能性がある。県警は当時の状況について代表から任意で事情を聴いている。
毎日新聞の取材に応じた代表は国の基準違反は認めたが、「長年の経験もあり1人で預かれるだろうと思っていた。心都ちゃんをベッドに寝かせてから5分ごとに様子も確認していた」と説明した。【芝村侑美】
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