福島第一原発2号機で、燃料デブリの試験的取り出しが中断した問題で、9月4日、東京電力の小早川社長は齋藤経済産業相への報告後、報道陣の質問に答えた。

Q 改めてミスの説明を
A 改めて地元の皆様社会の皆様にお詫びを申し上げさせていただきます。経産大臣に、約2週間前になりますけれども、原因の要因と対策を求められて、私の責任の下でしっかりと現場とやりとりしながらまとめたものを報告させていただきました。
直接的な原因はやはり、高線量下という部分においては決して軽んじてはいけない部分ではあったのですが、単純作業ということで、我々の確認ができていなかったと。1Fの作業というのは、なかには安全に作業できる場所もありますけれども、全般的にはまだまだ線量の高い過酷な現場であることを再認識して、作業全般に対してしっかりとわれわれの目で確認することを今日改めて大臣に報告し、そこに対する再発防止の徹底を図っていくと申し上げました。
高線量下の作業でずっと確認作業をしているということはそれだけ作業員が被ばくをしてしまうということになりますので、その実効性を高める工夫であるとか、現場視点に立って、実際の手順に対してしっかりと設計をしていくこと、必要に応じてしっかりとモックアップ、模擬訓練をしっかりと実施し徹底していくこと、今後しっかりと徹底してまいりますとお伝えしました。
大臣からのご指導、所感をしっかりと、反省を教訓として活かしながら、我々の責任でできるだけ早期に作業再開を進めてまいりたい。

Q 作業の再開スケジュールの見通しは?
A 詳細な原因については明日、廃炉の最高責任者の小野から説明させていただく。できるだけしっかりと確認をしたうえで、着実に再開してまいりたいと思いますけれど、今日の段階では作業のスケジュールについて申し述べられる段階ではございませんので、大臣からの要求事項なども踏まえ、もう一度しっかりと実効性について確認したうえ明日説明させていただきたい。

Q 作業に東電が立ち会っていなかったということか?
A 実際テレスコを押し込む作業の前段階の準備作業ということで、私どもとしてもその準備作業について立会い確認ができていなかったことが直接的な原因ということでございます。

Q 何人規模でどのような人に調査したか?
A 今回の事案が発覚してから、当社の関係者、協力会社・企業の方にもその時どう準備作業をして誰がどう確認したかということも詳細に確認したうえでご報告させていただいておりますが、詳細につきましては明日ご説明させていただきたい。

Q 下請け業者が多層的な構造になっている影響は?
A 必ずしも重層構造だけが悪いとは考えませんけれども、実際に作業をする人がどういう能力を持っていて、どういう現場に対する認識が共有できていて、それを例えば事前の模擬訓練とかモックアップとかに採用するという直接的なコミュニケーションをとるうえでは、もう少し協力会社の体制についても見直していかなくてはならないのではないかという問題意識は、昨年のALPSの設備の中で廃液をかぶってしまったとか、高温焼却炉建屋から汚染した水を漏洩させてしまったりだとか、作業手順のミスみたいなことも含めて、構造的にはしっかり考えていく必要があろうかと考えております。
大臣に「全般に」と申し上げたのは、1Fというかなり線量の高いエリアを抱える所で我々がこのエリアに対して、どういうふうに共通的な確認・管理をしていくかとか、どういうところを必ず見ていくかということを、作業全般に対して定義をして、どういう請負構造であろうが、我々の確認を通らない限り作業を進めさせないとか、そういう強いルール化、意志が必要だと思います。今回事故は起こっていないですけれども、作業の手戻りがあるということは、作業員に対して余計な被ばくをさせてしまったということですので、今後1人あたりの被ばくとか安全について最大限配慮できる体制を作っていくことが重要だと考えており、必ずしも多層構造だけが問題とは思いませんけれども、こういった体制が一番うまくいくようなものに少しずつ改善していく問題意識は持っております。

Q ルールの明確化ができない限りはデブリの取り出しが再開できないか?
A 今回の部分は原因がかなり明確に分かっておりますので、何を確認するかというのは今現場で準備してもらっておりますので、ある種しっかりと防止できる体制を整えたうえで、早期に再開してまいりたいと思います。廃炉作業というのは長く続きますし、より困難な作業領域にも突入していきますので、よりよい組織、ルール作りを今後の廃炉作業全般に対して配慮していきたいと。

Q 去年から続く一連のトラブルとの関連性は?
A 高線量下なので時間に対する焦りとか、事前の段取り、訓練。大臣も2月に起きた建屋からの漏洩の時はDXなども活用しながら設備投資も含めてしっかりと進めてくださいとおっしゃってましたので、1Fの現場というのは発災から13年経つわけですけれども、汚染水との戦いであり廃棄物の戦いであったことから急にこしらえてきた設備もあるわけなので、そういうものをしっかりと再構築し、最新の技術を取り入れて、できるだけ作業にストレスがかからないようにすること。全部作業をとめてということよりは、そういった技術を取り入れながら、改善をどんどん進めていくことが重要だと。

Q これだけ重要な工程が十分な管理がないままスタートしたことについては?
A 準備のさらに事前準備段階ということです今回の作業というのは。全体セットアップをしてから実際のデブリの取り出し工程が始まる訳なんですけれども、事前準備というところに高線量の物の運搬とか、据え付けがあったということで、我々とすればかなり単純な作業という見方をしておりましたけれども、結果としてはやはり高線量の中で、重装備の中で、実際にはうまくセットアップできなかったということが起きましたので、例えば今回であれば、2号機の入り口に入るところからの動線でしっかりと作業計画を見ていく必要があったと認識しております。

Q 処理水の放出などの廃炉工程も色々なところにほころびがあるのではと思ってしまうが?
A 今回の中断も実際には作業の誤りに気づいて止めて、今なおすということをやっていますので、一番リスクがあるのは、例えば放射性物質を環境に出してしまうとか、非常に高線量の被ばくをしてしまうことを我々として絶対避けなくてはならないことで、そこに至る前に作業の前段階で一応止まったと。ただこれは、もっと事前にこういうことすら防げたのではないかということで、1Fという特殊な作業環境の中で事前の準備、確認、訓練をしっかり徹底していく必要があると。

Q こういったミスは他の原発の再稼働への不安となると思うが?
A 放射性物質を扱うということにおいて、福島第一も柏崎刈羽も安全について日々高める必要があると考えています。福島第一はより過酷な廃炉作業現場ということで、よりミスが少ないような事前の準備とか確認が求められるということで、今回の反省教訓について、水平展開できる部分は柏崎のオペレーションにしっかり反映してまいります。

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