公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 香川県発注の土木工事を巡り談合を繰り返した疑いが強まったとして、公正取引委員会は3日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で土木業者数十社を立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。立ち入り先の多くは約20年前にも同様の違反で勧告を受けており、公取委は悪質性を問題視している模様だ。

 関係者によると、立ち入り先はいずれも高松市所在の土木業者で「村上組」や「東讃建設」など数十社。各社は遅くとも2019年度以降、香川県発注の土木工事の一般競争入札で、あらかじめ話し合って落札者を決めていた疑いが持たれている。談合は高松市や直島町を施工現場とし、予定価格が3000万円以上の工事を対象に行われ、19~23年度で計231億円規模とみられる。

 こうした工事は入札価格に加え、過去の工事成績などによる総合評価も合わせて施工者を選定する仕組み。このため、落札予定業者だけが入札に参加する「1社応札」にしたり、予定業者の入札価格を予定価格の95%前後、その他を91%程度にしたりするよう取り決めていたという。

 公取委は01年にも、香川県発注の土木工事を巡り談合したとして122社に排除勧告をしており、今回の立ち入り先の大部分は当時も違反を認定されていた。関係者によれば、行政による談合排除の取り組みで、実績の乏しい小規模事業者が落札しにくくなることへの危機感などから談合が再開されたとみられる。【渡辺暢】

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