沖縄本島南東沖で8月30日、炎上後に沈没した県近海鮪漁業協同組合(那覇市)所属の漁船「第8光栄丸」は、船内の機関室周辺から出火したとみられることが2日、複数の漁業関係者への取材で分かった。

 行方不明となっている機関長の仲宗根恒光さん(69)について、第11管区海上保安本部は2日午後7時、巡視船や航空機による24時間体制の専従捜索を打ち切った。今後は現場海域を航行した際に捜索に当たる。

 救助されたインドネシア人たちから話を聞いたという漁業関係者の40代男性によると、30日早朝、乗組員の1人が、機関室から煙が出ていることに気付いた。

 慌てて寝ていた乗組員を起こし、船内に備え付けの救命ボートに乗り移ったが、機関長の姿だけがなかった。「起きて数分の出来事で状況が理解できなかった」と話していたという。

 7人は30日早朝から9時間以上、大海原を漂流。シャチとみられる3頭に囲まれる場面もあった。時間がたつにつれ日差しは強さを増し、船長は肩から腕まで日焼けしたという。

 7人はタンカー船に救助され、その後11管の巡視船に乗り移り、翌31日午前10時20分ごろに帰還した。

 機関長と50年以上の付き合いがあるという70代男性は「機関長だけ見つかっていないのはショック。仕事一筋で真面目な人。船内で何が起きたのか知りたい」と話した。

 第8光栄丸の出港前に燃料を供給した石油会社の50代男性は「いつもと変わらず、漁の準備をしていた。情に熱くて優しい人。一刻も早く見つかってほしい」と機関長の無事を願った。(社会部・玉那覇長輝)

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