元日に発生した能登半島地震で、国土交通省近畿地方整備局(近畿地整)は、職員延べ2198人を被災地に派遣し、緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE、テックフォース)として、道路や河川、港などの被害調査や給水支援などをした。3月21日に大阪市中央区の同局で開いた報告会で、職員が活動で得た教訓や課題を発表し合った。【砂押健太】
テックフォースは台風や豪雨、地震や津波などの大規模自然災害で、被災自治体の職員だけでは対応が難しい場合、国交省の出先機関である地方整備局の職員が応援・支援する役割を担っている。
今回の地震で、国交省は全国から職員を集めた。大阪市に拠点を置く近畿地整も1月3日から3月22日まで職員316人を派遣し、砂防、河川、道路などの被災状況を調査したほか、応急対策として避難所への給水や電源の支援などもした。
被災状況調査班として派遣された大阪国道事務所の高松弘泰事業対策官(当時)は「雪が多く、雪がやむと雨が降り、調査は難しかった。土砂が崩落している横で計測したが、計測時に地震があったらとても危なかった」と活動を振り返った。その上で「今後はITを使って効率的にできればいいのかなと思う」と話した。
このほかの報告では、被災地に多くの支援車両が集結したことで、車両の待機スペースが取り合いのような状況になったことや、現地調査する職員のトイレや休憩所の確保に苦労したことなどが課題として挙げられた。
近畿地整によると、地震による道路状況悪化で、現地活動拠点としていた富山県の宿舎から被害の大きかった石川県珠洲市や同県輪島市への移動は車で片道4~5時間を要した。職員の体力を考慮し、現地活動の次の日は富山県高岡市にある北陸地方整備局の施設で書類作成などの内勤業務をさせ、無理な勤務態勢にしないように努めたという。
報告会後、報道陣に対し、中尾勝総括防災調整官(当時)は「近畿地方は、能登半島と同じように半島がある地域だ。今後南海トラフ地震が起こることが想定されており、今回の支援の経験を対策に生かしたい」と述べた。
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