崩れた民家の石垣=愛媛県愛南町で2024年4月18日午前9時43分、山中宏之撮影
写真一覧

 最大震度6弱を観測した愛媛、高知両県は17日夜に災害対策本部を設置し、一夜明けた18日朝から被害状況などの情報収集に追われた。

 震度6弱を観測した愛媛県愛南町によると、観光名所「石垣の里」で石垣7カ所が崩れた。同県大洲市では同市肱川町の国道197号で落石などのため18日午前1時から約3キロにわたって全面通行止めとなっているほか、市内の11世帯で断水している。また、宇和島市や愛南町などで水道管破裂や漏水などの報告が複数寄せられているという。

 高知県檮原(ゆすはら)町では落石と倒木で道路が寸断され、松谷地区の5世帯が孤立している。

崩れた民家の石垣を片付ける住人の男性=愛媛県愛南町で2024年4月18日午前9時42分、山中宏之撮影
写真一覧

 学校の休校も相次いでいる。同県宿毛市は市内の全小中学校12校を臨時休校とし、愛媛県でも小学校1校が臨時休校、小中学校計38校が自宅待機とした。

 鉄道や高速道路にも影響があった。JR四国によると、地震発生時に、予讃線・菊間―浅海駅間を走行していた岡山・高松発松山行き特急列車が緊急停車。乗客38人がはしごで線路脇に降車し、バスで代替輸送された。同線・伊予市―宇和島駅間で運行していた普通、特急列車の乗客18人も救助され、けが人はなかった。予讃線は一部区間で運休し、予土線は終日運転を見合わせている。

 NEXCO西日本四国支社によると、松山自動車道、伊予インターチェンジ(IC)-大洲IC間は安全確認のために18日午前2時半まで通行止めとなったが、被害は確認されていない。

 愛媛、高知両県の住民は突然の強い揺れへの対応に追われた。

 震度6弱を観測した高知県宿毛市。午後11時に店を閉め、屋外に出ようとした飲食店の男性店長(36)は「ドーンという強い横揺れ」に遭った。店に併設された倉庫を見に行くと、棚にあった酒瓶約100本が床に落ち、割れて散乱していたという。四国地方は南海トラフ地震の発生が懸念されている。男性は「地元では、いつか大きな地震が来るのではないかといつも話していた」と語った。

 同じく震度6弱で揺れた愛媛県愛南町。ローソン愛南町平城東店の男性店員(30)は「最初はそれほどでもなかったが、だんだん横揺れが強くなった。立っていられなくなり、棚にしがみついた」と振り返った。閉じ込められないように店の自動ドアを開けるなどして対応し、「栄養剤や化粧品などが棚から落ちたが、機械の故障や停電はなかった」と落ち着いた様子だった。【前川雅俊、鶴見泰寿、山中宏之、洪玟香】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。