船に積み込まれる「北海道知内サーモン」=北海道知内町で2024年7月4日、三沢邦彦撮影

 津軽海峡に面した北海道知内町森越の沖合で、試験養殖しているトラウトサーモン(ニジマス)の水揚げが始まった。道内では最大規模となる直径約40メートルのいけすを沖合約2キロに設置。大きく育ったサーモンが船上に引き揚げられている。

 日本サーモンファーム(青森県)と上磯郡漁協、知内町の3者は2023年7月に連携協定を締結。同11月に5万5000匹(約23トン)の種苗を放流した。初水揚げは今月2日で、サーモンの大きさは平均約3・5キロ。大きなものだと約5キロまで育っている。

沖合に設置された直径約40メートルのいけす=北海道知内町で2024年7月4日、三沢邦彦撮影

 道内では漁港内でのサーモン養殖が一般的だが、知内町では道内で唯一、外海で養殖している。このため大型いけすによる大規模な生産が可能で、今年の水揚げは道内で最も多い100~150トンを予定。今後、いけすは計4基まで増やし、28年まで試験養殖を続けるという。

 道南では日本で唯一、太平洋と日本海の二つの海を抱える八雲町が19年に道内初となるトラウトサーモンの海面養殖を始め、「北海道二海(ふたみ)サーモン」のブランド名で売り出している。函館などの道南や道東でも新たな水産資源としてサーモン養殖が広がり、安定的な漁業経営を目指している。

 知内町産のサーモンは「北海道知内サーモン」として、8月に町民向けのイベントで振る舞われるほか、9月には小中学校の給食として提供を予定している。

 町農業水産振興課の沖津優也課長補佐は「津軽海峡の速い潮に負けず、魚体は想定より大きく、順調に成長した。知内は道内一の生産量を誇るニラもあるが、サーモンを新たな特産品に育てたい」と話した。【三沢邦彦】

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