大阪府警本部

 大阪府警は20日、特殊詐欺の被害金を引き出す「出し子」の男性1人を窃盗容疑などで再逮捕したと発表した。現金の引き出しを専門に請け負い、報酬を得ていたとみられるという。広域・複雑化する特殊詐欺事件に対応するために今春設置された「特殊詐欺連合捜査室」が初めて摘発した。

 逮捕されたのは、氏名や年齢、職業が不詳の男性。「山下勉と呼んでくれ」と話しており、府警は偽名とみている。

 男性は複数人と共謀。還付金名目で広島県の男性に振り込ませた現金49万円をATM(現金自動受払機)で引き出したとして、6月に電子計算機使用詐欺や窃盗などの罪で逮捕、起訴された。同様の手口で静岡、愛媛両県の男性2人に振り込ませた計150万円も引き出していた疑いが強まり、府警は19日、同容疑で再逮捕した。認否は明らかにしていない。

 連合捜査室は、他の都道府県警と連携して詐欺捜査に当たる専門部署。SNS(ネット交流サービス)などで結びついた不特定多数の集団「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」などへの対策として、府警を含む7都府県警に今春設置された。今回は容疑者の男性が大阪府内で現金を引き出していたことから、静岡、愛媛など4県警が府警に捜査を依頼。連合捜査室が行方を追い、名古屋市で逮捕した。

 男性が2023年12月から24年5月までに、特殊詐欺の被害金約2億5000万円を不正に引き出していたことを府警は確認。このうち2000万円以上を報酬にしていたとみられるという。【川地隆史】

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