愛知県内の小学校付近で、カラスの不審死が相次ぎ、通学路に警察官が配備されるなど、異例の事態となっています。

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愛知県清須市の西枇杷島小学校。元気に小学生が登校する傍ら、通学路に立ち周囲に目を光らせる警察官の姿がありました。

登校する小学生を見守る警察官

最初にカラスの死骸が見つかったのは、5月21日。学校の敷地内の駐車場でした。見つかったカラスは、口から液体状の物を出していたといいます。

その後もカラスの死骸発見報告が相次ぎ、駐車場から全部で4羽。

校庭の一角からも、カラスの死骸が

西枇杷島小学校 海川覚校長:
(カラスの死骸があったのは)このあたりですね。早く原因がわかるといいなと思います。

子どもたちが遊ぶ校庭からも1羽見つかり、計5羽の死骸が見つかっています。さらに、学校周辺でも…。

小学校の近隣住民:
カラス1羽だけ見つけた。そこの校門のこちら側くらい。

小学校の近隣住民:
なんかごみが落ちていると思って、何だろうなと思って近くに見に行ったらカラスだった。羽をすぼめてこうやって死んでいました。

3羽から農薬成分「シアノホス」が検出

学校から約1km離れた地域でも、カラスの死骸が相次いで発見されていました。

最初の発見から3週間で、清須市内で見つかった不審な鳥の死骸は、ハトなどを合わせて16羽にのぼるといいます。

近隣住民:
たまたま、表に出たらお巡りさんがいらして、「何かあったんですか」と聞いたらカラスが死んでいて、「誰かがいたずらで何かを食べさせていたりするといけないので、調べています」って。

警察が死骸を鑑定したところ、19日までに3羽から農薬の成分である「シアノホス」が検出されました。

「シアノホス」とは有機リン化合物で、殺虫剤などとして使用される薬剤です。

法科学研究センター 雨宮正欣所長:
こういうものを動物が摂取すると、体をつかさどるいろんな電気信号がうまく伝わらなくなって、最終的には呼吸が止まるということ。窒息死だったりとか、そういう毒性が見られます。

では、一体どこでカラスたちはそのような物質を摂取したのでしょうか?
元埼玉県警刑事の佐々木成三氏は、近隣の開けた場所は学校や公園などで、農薬を使う畑などが見当たらないことから、「過失的にまかれたものではない」と推察します。

元埼玉県警捜査一課刑事 佐々木成三氏:
付近にこの農薬を使っている農家はない、この農薬を売っている場所はない。こういったのが明らかになってくると、やはり“過失的にまかれたものではない”という可能性が高くなるというのは十分考えられます。

農薬のメーカーなどによると、鳥への毒性はあるものの、「畑にまく」など通常の使い方での影響は考えづらいといいます。
また、「シアノホス」が入った農薬は農家向けで、愛知県内のホームセンターなどでは、ほとんど売られていません。

何者かが故意にカラスなどに農薬を摂取させたのか。住民からも不安の声が上がっています。

清須市民:
誰がやったの?という感じ。私が思うに、カラスにごみをあさられて、腹が立ったか知らないけど、やったのかなという気はします。

小学生の父親:
先月の中ごろぐらいから終わりごろにかけて、ものすごく(カラスが)繁殖期ですごくうるさくて。うるさいなーと思った人がやったのかなと、僕らは思っているんですけど。また何羽死んだ、また何羽死んだと続いたら不安ですよね。

過去には、動物の死骸発見が相次いだ後に、動物虐待事件と同一犯による無差別刺傷事件が発生したこともあり、元刑事の佐々木氏は“見過ごせない点”があるといいます。

周囲を警戒するパトカー

元埼玉県警捜査一課刑事 佐々木成三氏:
動物虐待からエスカレートして、大きな事件、凶悪事件に発展するということが過去にもありましたので、警察においてはこういった事案は看過できずに、異例な態勢で警戒をしているんだと思います。私が経験した容疑者においても、快楽を得るために虐待を続けて、時間がたつと体が大きくなって、その欲求が人間に向かってしまったと。
こういった事案があるときに、周囲の住民の方も不安になっていると思いますし、こういった事案から摘んでいくということが、後の凶悪事件を止めるということになりますので、まずは、「どこで・誰が・どのような形で」という形を明らかにするために、警察は懸命に捜査していると思います。
(めざまし8 6 月20日放送)

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