車と人形を乗せた自転車を衝突させる実験=鈴鹿市稲生町の鈴鹿サーキット交通教育センターで2024年6月10日午前11時21分、渋谷雅也撮影

 交通事故の鑑識技術向上を図るため、三重県警が10日、鈴鹿市稲生町の鈴鹿サーキット交通教育センターで「交通鑑識実践塾」を開いた。県内外から約130人の警察官が参加し、事故現場の証拠収集などを学んだ。

 実際の車両が使われ、時速約60キロの乗用車と人形を乗せた自転車との衝突事故も再現された。紫外線を発する電灯や単眼鏡を使って路面の痕跡から、人形の衣類の繊維や飛び散った自転車の破片などの採取を実践した。

急ブレーキをかける急制動実験の後、車のタイヤ痕を探す警察官=鈴鹿市稲生町の鈴鹿サーキット交通教育センターで2024年6月10日午前9時23分、渋谷雅也撮影

 また、急ブレーキをかけて停止するまでのスリップ痕の距離から車の推定速度などを算出する方法を確認したほか、科捜研によるドライブレコーダーや防犯カメラを用いた車の速度算出の講義も行われた。参加した県警高速隊の赤塚渡巡査部長(39)は「教えてもらった写真の撮り方や痕跡の合わせ方を忠実に行って現場に生かしていきたい」と語った。

 県内だけでなく、大阪府や徳島県など10府県からも集まった。兵庫県警の男性警部補(45)は「兵庫では場所があっても、車などを用意できず、衝突実験の実施が難しい。間近で事故を見て確認できるのは貴重な経験だった」と話した。

 「交通鑑識実践塾」は2007年度に始まり、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止になった21年度を除いて今回で17回目。交通事故事件捜査員の育成と、鑑識技術の基礎向上を目的に行われている。開催する県警交通指導課の磯和克樹・交通事故事件捜査統括官(50)は「交通事故捜査は当事者の話を聞くだけではなく、現場の痕跡など客観的資料を集めることが大事。事故の真相究明につなげてもらいたい」と語った。【渋谷雅也】

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