公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 運送事業者に支払う委託代金を不当に減額するなど独占禁止法の「物流特殊指定」に違反した疑いが強まったとして、公正取引委員会は11日、管工機材・住宅設備機器販売会社「橋本総業」(東京都中央区)を立ち入り検査した。関係者への取材で判明した。

 荷主と運送事業者の取引で独占禁止法の「物流特殊指定」違反につながる恐れがあるとして、公正取引委員会が荷主に対し行った「注意」の件数は2023年度、過去最多の17件に上った。類型では必要経費を負担せずに発注を取り消したり、配送先を変更したりする「不当な給付内容の変更・やり直し」が最も多かった。

 公取委によると、トラック運転手の時間外労働に上限が設けられたことで物流の混乱や停滞が生じる「2024年問題」を巡り、政府が価格転嫁を推進する中、取り締まりを強化しているという。

 さらに、荷主と運送事業者の取引を下請け法の規制対象とする法改正も検討している。両者の取引は「役務の再委託」でないため、同法は適用外。法改正により、下請け取引のように迅速な取り締まりが可能となるうえ、荷主に対し、運送業者への損害分の返金を求めることができるようになるという。【渡辺暢】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。